3週間以上が経過したイラン戦争は、依然として収束の気配を見せておらず、むしろ長期化を意識せざるを得ない状況です。米国・イスラエル側とイラン側がそれぞれ提示している要求は、現時点で双方ともにほとんど譲歩の余地が見えず、情勢は横一線のまま膠着状態が続いております。

足元では、イランが中東諸国のインフラ設備に対する断続的な攻撃を継続しており、一方で米国・イスラエル側は、イラン国内のミサイル関連施設やドローン保管施設を重点的に攻撃しています。軍事的な優劣そのものよりも、互いに相手の継戦能力を削ることを優先した消耗戦の様相が強まってきた印象です。

また、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態が続いており、各国はイラン側との交渉を進めると同時に、独自の輸送ルート確保を急いでいます。こうした代替ルートの整備や新たな調達網の構築には相応の時間を要するため、短期間で需給の混乱が解消するとは考えにくいでしょう。

その結果、資源価格は高止まりしやすい地合いが続くとみられます。市場では原油価格そのものに注目が集まりやすいものの、実際には原油精製の過程で生まれるナフサなどの副産物も極めて重要です。これらは化学製品や樹脂、日用品、工業製品など幅広い分野の原材料となるため、輸入の停滞は表面的なエネルギー価格上昇以上に深刻なインフレ要因となり得ます。

こうした点を踏まえると、今回の中東情勢は、ロシア・ウクライナ戦争勃発時を上回る規模でスタグフレーション懸念を高める可能性があり、今後のグローバル市場にとって大きな重荷になると予想しています。

BTC(ビットコイン)は下落相場再開へ、逆張りよりも流れに沿った戦略を

BTC/JPYの日足チャート分析です(図表1)。先週(3月16日週)半ばから一時的に高値をつけて反発してきましたが、市場全体が「最悪のシナリオはいったん回避されるのではないか」と期待し、何らかの調整期待があったものと考えられます。この局面では原油価格もある程度下押ししています。

暗号資産市場は再び下落へ転じ、株式市場も上値の重い展開となってきました。両者の隔たりが想定以上に大きく、短期的な妥協が難しいという現実を市場参加者が改めて認識し、投機筋の売りが優勢になった可能性があります。

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

テクニカル面では、3月22日の終値がSMA30(黄)をわずかに下回りました。3月23日もこのSMA30を下回って引けるようであれば、緑の上昇サポートライン付近まで下押ししやすくなるテクニカルな形状と言えるでしょう。反発狙いよりも、下落トレンドへの回帰を意識したトレード戦略が優位になりやすい局面と考えます。

BTC/JPYの 4時間足チャート:SMA200を割り込み、下落トレンド継続か

BTC/JPYの4時間足チャート分析です(図表2)。足元ではSMA200(橙)を下回って推移しており、時間足レベルでは中長期的な地合いの悪化が意識され始めています。短期の値動きでは単なる押し目にも見えますが、4時間足で長期移動平均線を明確に割り込んできたことは、相場の重心が再び下方向へ傾きつつあるサインとも受け取れます。

加えて、今後SMA30がSMA200をデッドクロスしてくるようであれば、さらに下落バイアスが強まりやすくなるでしょう。この形が完成すると、戻り売り相場の継続を示唆する典型的なパターンとなるため、2月の安値更新を視野に入れておく必要が出てきます。

【図表2】BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

今週(3月23日週)のBTCは、すでに売りポジションを持っている投資家にとってはポジション維持を検討しやすく、戻り局面では追加の売りを入れやすい展開を想定しています。相場全体が不安定化しやすいマクロ環境下では、無理な逆張りよりも流れに沿った戦略を優先したいところです。

ETH(イーサリアム)は典型的な戻り売りパターンで強い下落を意識

ETH/JPYの日足チャート分析です(図表3)。MACDが0.00付近でデッドクロスしました。マイナス圏からいったん回復しながらも、0.00付近で失速したうえでデッドクロスする形は、典型的な戻り売り成立パターンと言えます。

しかも、これが日足レベルで発生している点は重要で、短期的なノイズではなく、再び強い下落トレンドへ移行する可能性を示唆していると考えます。

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETHは2月6日に安値をつけた後、すでに1ヶ月半以上が経過しました。その間、ボトム圏でのレンジ相場が長く続いていたため、次に上下どちらかへ放れる際には、比較的大きなトレンドが発生しやすいタイミングに入っていると判断しています。

仮に下方向へブレイクした場合、その値動きは想定以上に大きくなる可能性があります。まずは目先、緑のトレンドラインまでの下押しを想定したいところです。その後の値動きが非常に重要であり、このラインを明確に割り込むようであれば、一気に20~25万円方向まで意識せざるを得ない展開になるかもしれません。

今週(3月23日週)のポイント

・中東情勢は3週間以上にわたり膠着状態が続いており、双方に譲歩余地が乏しいため、戦争長期化リスクが高まっている。
・ホルムズ海峡の封鎖状態が続く中、原油だけでなくナフサなど副産物の供給停滞も、世界的な物価上昇圧力につながる可能性が高い。
・今回の中東リスクは、ロシアのウクライナ侵攻時以上のスタグフレーション懸念を市場に意識させ始めている。
・BTC/JPY日足はSMA30を下回りつつあり、上昇サポートラインまでの下押しを警戒する局面に入っている。
・BTC/JPY4時間足はSMA200を下回っており、SMA30とのデッドクロスが完成すれば、戻り売り優勢の地合いがさらに強まる可能性がある。
・ETH/JPY日足ではMACDが0.00付近でデッドクロスしており、典型的な戻り売りパターンとして下落再開を示唆している。
・ETHがトレンドラインを明確に割り込めば、20~25万円方向までの大幅下落も視野に入る。
・総じて、今週の暗号資産市場は反発狙いよりも、戻り売りを軸にした慎重な戦略が優位になりやすい地合いと考える。