政権基盤強化につながった2度の「安倍解散」
高市総理が早期の解散・総選挙を検討しているという第一報が流れたのは1月9日だったが、それに対して日本の金融市場は当初は株高・円安へ大きく反応した(図表参照)。少なくとも株高には、高市政権の連立与党体制が強化されることを期待した「日本買い」という評価があったのではないか。そしてその背景には、高市総理が継承を自認している安倍第2次政権時代に行われた2度の解散・総選挙の「成功」の記憶もあったのではないか。
第2次安倍政権時代の解散は、2014年11月と2017年9月に行われた。その後行われた総選挙にて、連立与党はともに300を大きく上回る議席を維持する「勝利」を得ることに成功した。では今回の「高市解散」も、総選挙の結果与党が過半数を大きく上回る「勝利」を得て成功できるか。ただ、総理が解散を正式に表明したことへの大手全国紙の社説を見ると、「安倍解散」と「高市解散」では違いが感じられる。
全国紙社説が「大義」に理解示した「安倍解散」=「高市解散」は違う
2014年11月19日付けの日本経済新聞社説のタイトルは「アベノミクスに通信簿をつける選挙」「安倍政権の経済政策を評価するかどうかを争点に据える」ということで解散・総選挙に一定の理解を示していた。
これに対して今回、高市総理による正式な解散表明を受けた1月20日付け社説のタイトルは、「大義がみえない高市首相の衆院解散」だ。「予算を後回しにしてまでになぜ解散しなければいけないのか。首相の説明を聞いても胸にすとんと落ちない」と否定的なトーンになっている。
次に、読売新聞の社説も比較してみよう。2014年11月19日付け、そして2017年9月26日付けの社説の中ではそれぞれ、「野党は『大義なき解散』と批判するが、それは当たらない」「『解散の大義がない』との野党の批判は筋違い」との指摘があった。つまり「解散の大義」を認める立場だった。
これに対して今回1月20日付け社説は、タイトルで「政策推進の体制整えられるか」と一定の理解を示す一方で、「大義」についての言及はなく、「わずか1年3ヶ月で再び(衆院選の)信を問うことには、批判も出ている」と賛否両論併記のようになっていた。
厳しい消費税減税公約への批判=当初の「日本買い」期待変化も
1月20日付けの社説で、日本経済新聞、読売新聞とも基本的に同じ立場だったのは高市総理が述べた消費税減税への批判だろう。「首相が掲げる『責任ある積極財政』や『未来に責任を持つ政治』と矛盾しないだろうか」(日本経済新聞)、「将来にツケを回すことになる減税を訴えるのは、無責任極まりない」「連立を組む維新の主張に引きずられたようだが、安易すぎる」(ともに読売新聞)。
以上、「安倍解散」と今回の「高市解散」を比較してみてきたが、「大義」や選挙公約を巡る評価はかなり違いがあるようだ。「安倍解散」がその後政権基盤の強化につながったのに対し、「高市解散」が政権基盤の強化をもたらさないようなら、早期解散観測が浮上した直後のような「日本買い」期待は大きく変わる可能性もあるのではないか。
