国家の安全保障と位置づけられるサイバーセキュリティ

近年、サイバー攻撃による政府や企業の内部システムからの情報搾取や、ランサムウエアによる攻撃が相次いでいる。特に目立つのがランサムウエアによる企業などへの攻撃だ。ランサムウエアとは、感染するとパソコンなどに保存されているデータを暗号化して使用できない状態にしたうえで、そのデータを復元するため金銭などを要求する不正プログラム。2025年は飲料のアサヒグループホールディングス(2502)や日用品配送のアスクル(2678)などが攻撃され、重大な被害を受けた。

こうした情勢に対処するため、政府では「国家安全保障戦略」に基づき、2025年5月に「サイバー対処能力強化法」および「同整備法」が成立し、公布された。具体的には「国民生活や経済活動の基盤」と「国家及び国民の安全」をサイバー攻撃から守るため、能動的なサイバー防御を実施する体制を整備する。

2026年は高市内閣の政策により、サイバーセキュリティ対策が一段と強化される年になりそうだ。高市政権は既に動き出している。政府は2025年度中にも重要インフラや政府機関のサイバー対策で、システム開発や運用にあたるITベンダーと顧客側の役割分担を定めるガイドラインを作ると報じられている。責務を明確にし、民間の契約にも明示するよう促す方針だ。

拡大するサイバーセキュリティ市場

サイバーセキュリティ市場は着実に拡大している。2024年の総務省・通信白書によれば2023年の世界のサイバーセキュリティ市場(売上高ベース)は790億ドル(約11兆8500億円)で、前年比11%増。ランサムウエアが拡大した2024年以降も高い伸びになっていると思われる。

また、国立研究開発法人情報通信機構(NICT)が運用している大規模サイバー攻撃観測網のダークネット観測で確認された2024年の総観測パケット数は6862億パケット(1度に届くデータの塊=センサーがデータを受信した回数と同義は)と、2015年の632億パケットから9年で8.5倍となっている。これは各IPアドレスに約13秒に1回の攻撃があった計算になるという。また、サイバー攻撃関連の通信の99%以上が海外からの発信だとしている。

サイバーセキュリティ関連銘柄をピックアップ

網屋(4258)

ネットワークセキュリティ事業とデータセキュリティ事業に展開。今後期待されるのがSASE(Secure Access Service Edge・サッシー)分野だ。サッシーとはネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウドサービスとして統合、提供する新しいセキュリティフレームワークのこと。インターネット通信をクラウドから全統制する仕組みである。最先端で市場規模が大きいものの、現在の世界のプレーヤーはシスコシステムズ[CSCO]、パロ・アルト・ネットワークス[PANW]など米国の大企業ばかり。同社は日本で初めてこの分野に参入した。ウイルスやスパイウエアなど、コンテンツレベルの脅威を検知・ブロックし、ネットワークを保護する。経済安全保障の観点からも、国産のセキュリティフレームワークの普及が期待される。

【図表1】網屋(4258):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年1月8日時点)

グローバルセキュリティエキスパート(4417)

民間企業や官公庁の情報通信ネットワークを防御するサイバーセキュリティに特化したIT企業。コンピュータへの不正侵入や防衛対策、脆弱性診断、コンサルティングなどのサービス事業のほか、専門エンジニア向けの教育事業も展開している。

【図表2】グローバルセキュリティエキスパート(4417):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年1月8日時点)

サイバーセキュリティクラウド(4493)

AI技術を活用したWebセキュリティサービス「攻撃遮断くん」の提供が主力。Webサイト・Webサーバーへのサイト攻撃を可視化・遮断する。導入社数・サイト数で国内首位。Webアプリケーションの脆弱性をついた攻撃からWebサイトを守るセキュリティ対策であるWAF(ワフ、ウェブ・アプリケーション・ファイアウォール)自動運用サービス「WafChaem」も提供している。サイバーセキュリティ意識を醸成し、深刻な被害を減らすことを目的に設立された「一般社団法人・サイバーセキュリティ連盟」の発起人。

【図表3】サイバーセキュリティクラウド(4493):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年1月8日時点)

ブロードバンドセキュリティ(4398)

クレジットカードデータを取り扱っている企業などに、クライアントシステムの可視化・抽出・課題解決を目的としたセキュリティ支援などのセキュリティ監査やコンサルティングサービスを提供している。また、脆弱性の診断や、セキュリティ運用を常時支援する情報漏洩IT対策なども展開している。

【図表4】ブロードバンドセキュリティ(4398):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年1月8日時点)

ZenmuTech(338A)

セキュリティ専業。独自の秘密分散技術を活用したパソコン向け情報漏洩対策ソリューションを提供。具体的には一つのデータをいくつかに分散することで、データが無意味になる「秘密分散」技術を活用したセキュリティソリューションで、通常の暗号化を用いた場合に比べて情報漏洩のリスクが低下する。法人向けPCで需要が拡大。

【図表5】ZenmuTech(338A):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年1月8日時点)