先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数は揃って続伸となりました。中国本土の株式市場においては、週前半から先々週後半の好調な流れを引き継いで堅調でしたが、良い材料がいくつか出てきて株価上昇を支えました。まず6月30日(月)は国務院(日本の内閣に相当)が軍用品メーカーの資金調達を支援する案を検討しているとの報道があり、軍需関連株が上昇して相場を牽引しました。次いで、7月1日(火)はHSBCが6月の中国製造業景況指数(PMI)確報値を発表。50.7と6月速報値である50.8からは少し後退したものの、5月確報値の49.4からは上昇。また、同日に中国国家統計局が発表した6月の中国公式製造業景況指数(PMI)も5月の50.8から51.0へ6ヶ月ぶりの高水準となったことで、中国経済のスローダウン懸念が後退しました。

7月2日(水)には製薬会社の浙江莎普愛思薬業など、この日に上場した3社がいずれも値幅制限一杯の+44%まで上昇して相場を牽引。さらに7月3日(木)にはHSBCが発表した6月の中国サービス業景況感指数が53.1と、5月の50.7を大きく上回り、1年3ヶ月ぶりの高水準に達したことがさらに中国経済の見通しを明るいものとしました。さすがに7月4日(金)は5日ぶりに反落となったものの下値は限定的で、週を通して力強い値動きとなっています。先週も指摘しましたが、IPOが好調でIPOに向かった資金が拡大し、他の銘柄に流れて株価の上昇要因となっているところに力強さを感じます。

香港株も基本的には中国経済の経済指標が好調であることを好感して中国本土株と同じような堅調な値動きとなっています。また、米国株が堅調であったことも香港株には好影響を与えました。個別では最悪期は過ぎ去ったとの見通しが拡がったことでカジノ株が上昇。また、中国の大手不動産会社の販売が好調であることが伝えられて中国の不動産株が上昇し、相場を牽引しました。今週は7月9日(水)に6月の中国の消費者物価指数(5月実績2.5%、市場平均予想2.4%)、10日(木)に6月の中国の輸出(5月実績+7.0%、市場平均予想+10.2%)と輸入(5月実績-1.6%、市場平均予想+5.6%)、同じく10日(木)に6月の新規人民元建て融資5月実績8708億元、市場平均予想9500億元)が発表される予定で、それぞれ注目です。

コラム執筆:戸松信博