3年連続で円安から円高へ転嫁した11月

2022年から150円を超える大幅な米ドル高・円安が繰り返されてきたが、その中でも11月は陰線、つまり米ドル安・円高が続いた(図表1参照)。つまり10月までの米ドル高・円安から、11月は逆方向の米ドル安・円高に動くことが多かったわけだ。

【図表1】米ドル/円の週足チャート(2022年~)
出所:マネックストレーダーFX

2022年の場合は、11月に逆方向へ動くきっかけになったのは日本の通貨当局による米ドル売り・円買いの為替市場介入だった。この介入により10月下旬で米ドル高・円安が一段落すると、11月は逆に米ドル安・円高へ大きく向かうところとなった。

2023年の場合も、為替介入こそなかったものの、前年と似たような展開だった。150円を超えたところで米ドル高・円安が一段落すると、年末にかけて140円に向かう米ドル安・円高となった。

2024年は、夏に急激な円高への揺り戻しが起こった。ただ9月頃から、11月の米大統領選挙でのトランプ大統領復活を先取りする米ドル買いの「トランプ・トレード」が活発化した。それでも、11月の大統領選挙でのトランプ氏勝利を確認すると、一旦米ドルは反落するところとなった。

11月中旬以降はポジション調整本格化=「高市円安」の反転は?

以上見てきたように、11月の米ドル/円にはそれまでとは逆方向に動く傾向があったが、それはおそらくポジション調整の影響が大きかったのではないか。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、2022年以降すべて11月中旬までに売り越し(米ドル買い越し)拡大が一巡し、年末にかけて縮小に向かっていた(図表2参照)。11月に入ってから米ドル買い・円売りポジションの手仕舞いを本格化させたことが、それまでの円安とは逆方向の円高への動きをもたらした大きな要因と見られた。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

CFTC統計は、米政府機能の一部停止、「シャットダウン」の影響からかデータ更新が止まっていることから、足下のポジションの判断は困難だ。ただ10月に入ってから高市新政権誕生をきっかけに円安、株高が大きく広がった動きは「高市トレード」の影響によるとの見方が強かった。その意味では、足下のポジションは円売り、株買いに傾斜している可能性がやはり高いのではないか。

では「高市トレード」のポジションはいつまで維持されるのか。これまで見てきた過去3年のように遅くとも11月中旬以降ポジション調整が本格化に向かうなら、それが「高市円安」、「高市株高」を逆に向かわせる可能性は注目してみたい。