「クリプトって結局何の役に立つの?」そんな質問を受けることがよくあります。確かに、クリプトはまだ多くの人にとっての「魔法のような体験」を提供できていないのが現実です。
前回、時代はweb3からOnchainへと変化しつつあると書きました。では、現在の市場はどのようなフェーズにあるのでしょうか?
私は、Onchain業界はAI業界でいうところの「ChatGPTリリース前夜」の状況にあると考えています。つまり、誰もが魔法のように感じる「決定的瞬間」は、まだ訪れていないということです。
この事実をどう捉えるかで、未来への関わり方が大きく変わります。「使い物にならない技術」と見るか、「巨大なチャンス」と見るかです。
私のようなOnchain業界の起業家にとって、現在の状況は千載一遇のチャンスです。一般の人々が抱く恐怖心や理解不足は、この分野がまだ飽和していない証拠だからです。
世界を熱狂させる「魔法の体験」を最初に作り出す機会が、まさに今、目の前に広がっています。メインストリームでのブレークスルーは未だ訪れていませんが、それを実現する基盤技術は重大な転換点を迎えました。
ある著名な起業家は言いました。「率直に言って、クリプトに魔法の瞬間はありません。友人や家族に尋ねても、『クリプトで魔法のような体験をした』と答える人はいないでしょう。しかし、そのことの強力な点は、それこそが私たちが開発を行うのに最適な時期であるということです」
変化の波に乗るか、見送るか。今こそ、その選択の時なのかもしれません。
- 大塚 雄介
- コインチェック株式会社 執行役員CBDO
-
早稲田大学大学院修了、物理学修士号取得。株式会社ネクスウェイでB2B向けITソリューションの営業・事業戦略・開発設計を担当。レジュプレス株式会社に参画(2017年4月よりコインチェック株式会社に社名変更)。2014年2月に取締役に就任。2018年4月にコインチェック株式会社がマネックスグループ株式会社の子会社となると同時に執行役員に就任し、マーケティング・事業開発などを統括。2021年4月執行役員を経て、2023年9月より執行役員web3Cloud事業本部長。組込型の暗号資産購入サービス「Coincheck OnRamp」をはじめとするweb3Cloud事業を管掌。2024年9月より執行役員CBDOに就任。 *CBDO(Chief Business Development Officer):最高事業開発責任者
