4月の139円で円高終了なら「最短」「最小」記録の更新

米ドル/円は、2024年7月の161円から、2025年4月には139円まで下落した。しかし2025年7月末には一時150円まで反発した(図表1参照)。では2024年7月から展開した米ドル安・円高トレンドは、2025年4月の139円で早々と終わってしまったのか。

【図表1】米ドル/円の週足チャート(2024年7月~)
出所:マネックストレーダーFX

仮に、米ドル安・円高トレンドが4月の139円で終わったのであれば、約9ヶ月続き、対円での米ドル最大下落率は13%程度だったということになる。1998年以降、おもな米ドル安・円高トレンドはこれまで5回あったが、その中で最短の継続期間は1年、そして米ドル最大下落率の最小は14%程度だった(図表2参照)。その意味では、もしも4月139円で今回の米ドル安・円高トレンドが終わっていたなら、これまでで最短、最小の米ドル安・円高トレンドにとどまったということになる。

【図表2】米ドル/円のおもなトレンド(1998年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そうでないなら、今起こっている米ドル高・円安へ戻す動きはあくまで一時的に過ぎず、この先米ドル/円は改めて4月に記録した139円の安値更新に向かうという見通しになる。

日本経済衰退化で円高になりにくく変化=5年MA割れずに円高終了?

次に米ドル/円の過去5年の平均値である5年MA(移動平均線)との関係を確認してみる。米ドル/円は、2024年7月に161円まで上昇する中で5年MAを3割程度上回ったが、2025年に入り米ドル/円の下落が広がる中で、同かい離率は一時1割未満に縮小した。これまでは米ドル/円の下落トレンドが展開する中では、5年MAを割れるまでその下落トレンドが続くのが基本だった(図表3参照)。今回は、5年MA割れに至ることなく米ドル/円の下落トレンドは終わったのか。

【図表3】米ドル/円の5年MAかい離率(1980年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドル/円と5年MAの関係を見ると、上昇トレンドは最大でも5年MAを3割上回ったところで一巡するパターンが1990年代から大きく変わることなく続いてきたことが分かる。その一方下落トレンドでは、1980~1990年代には5年MAを3~4割も下回っていたが、2000年以降は2割下回るのがせいぜいで、下落トレンド、つまりは米ドル安・円高トレンドが広がりにくくなったという変化が確認できる。これこそが、かつての貿易黒字大国から貿易赤字に転落したことなどが象徴的に示す日本経済衰退化の為替相場への影響と考えられる。

2011年10月に75円で米ドル安・円高がピークアウトして以降、米ドル/円の下落トレンドでも5年MAを割れるのがせいぜいとなっていたが、今回の米ドル安・円高トレンドではついに5年MAも割れることなく終わることになるのだろうか。その米ドル/円の5年MAは足下では135円程度での推移となっている(図表4参照)。

【図表4】米ドル/円と5年MA(1980年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成