◆以下は、昨年9月2日付の小欄「思い込み」からの引用である。

「長年の読者には呆れられるかもしれないが、本当にこのコラムで毎年のように書いている。甲子園が終わると秋風が吹く、と。どんなに猛暑の夏でもこの原理原則だけは不変のようだ、と。」

そのコラムでは、「例年に比べて涼しくなるのが早かった」とか「全般に過ごしやすい夏だった。少なくとも前年に比べてましだった」などと述べている。

◆昨年はお盆過ぎから涼しくなったが、今年は立秋(8月6日)を過ぎたら猛暑が止んだ。前線と低気圧の影響で豪雨となったところがあるくらいの雨で日差しが遮られたからだ。 その後、日差しが戻ると日中はまた記録的な猛暑がぶり返したが、それでも朝晩は涼しくなった。メディアは連日の酷暑を報じるが、均してみれば実は例年通り。暦通りの季節の移り変わりに驚くばかりである。

◆一方で、今年の夏もまた最高気温を塗り替える地域が続出しているのも事実である。 つまり、大きな季節の変化のタイミングは昔ながらのままで、あまり変わりはないが、そのピークの立ち方が先鋭的になっているということだ。地球規模で見れば、北極の氷が解け海面の上昇が観測されている。地球温暖化は不可逆的だろう。

◆株価の推移に似ているとも言えないか。アップ&ダウンを繰り返す右肩上がりの波形を思い描いてほしい。大きなアップダウン・サイクルが季節で言えば春夏秋冬だ。暑さもやがて和らぎ秋を経て冬に向かい、そしてまた春が巡ってくる。 ただし、その波形の基調は右肩上がりで、天井は毎年高くなる。株価の推移なら、それは喜ばしいことだが、気温の推移が右肩上がりの基調では困ったものだ。

気候変動がもたらす災害が多発するのも毎年のこととなっている。小欄でも台風、豪雨などの被害に遭われた方へのお見舞いを毎年のように述べている。気候変動に対しては、個人ができる小さなことから企業や国家規模の大掛かりなものまで様々なレベルで取り組みが行われている。災害への備えも同様にしたいものである。