東京市場まとめ
1.概況
日経平均は355円安の39,631円と続落で寄付きました。トランプ米大統領が日米関税交渉の合意に懐疑的な見方を示し、対日関税の引き上げを示唆したことで、輸出関連銘柄に売りが先行し、寄付き早々の9時5分に541円安の39,444円をつけて本日の安値を更新しました。その後は下げ渋り、前場の中頃には232円安の39,754円まで下げ幅を縮めたものの、再び伸び悩み、392円安の39,593円で前引けとなりました。
後場に入ると、徐々に下げ幅を縮小する展開となりました。海外短期筋による株価指数先物の買戻しが入ったとの観測から、14時ごろには39,900円を超え、前日終値に迫る場面も見られました。しかし後場の後半から再び下げ幅を拡大し、最終的には223円安の39,762円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が続落、2.7%安で取引を終えています。
2.個別銘柄等
日本郵船(9101)は1.2%高の5,198円をつけて反発となりました。「イラン軍が先月、ペルシャ湾で艦艇に機雷を積み込んだもようで、米政府内ではイランがホルムズ海峡封鎖に向けた動きを強めているのではないかとの懸念が広がっている」と伝わったことで、コンテナ船運賃の上昇につながるとの思惑から買いが入りました。商船三井(9104)は0.5%高、川崎汽船(9107)は0.02%高(0.5円高)と小幅高で取引を終えています。
IHI(7013)は4.6%安の15,010円をつけて反落となりました。同社は6月末に16,360円と株式併合考慮後で上場来高値をつけましたが、7月に入りトランプ米大統領が日本への関税引き上げを示唆するなど、外部環境の不透明感が高まったことに加え、短期的な過熱感から売りが優勢となりました。
東日本旅客鉄道(9020)は2.1%高の3,195円をつけ、5日続伸となりました。7月1日に公表した新たなグループ経営ビジョンで、非鉄道事業を拡大することで2032年3月期に売上高にあたる連結営業収益を4兆円超(2025年3月期は2兆8,875億円)、営業利益を7,000億円程度(同3,767億円)へ引き上げると発表し、中長期的な成長に期待する買いが集まりました。
不動産投資の霞ヶ関キャピタル(3498)は4.2%高の14,590円をつけて反発となりました。国内証券が同社の投資判断を3段階で最上位の「1(アウトパフォーム)」、目標株価を足元の水準を大きく上回る20,000円として調査を開始したことが明らかとなり、これを材料視した買いが入りました。
ECビジネス支援を手掛けるいつも(7694)はストップ高水準となる17.5%高の670円をつけ、大幅反発となりました。中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」での通販において、出店企業の運営やクリエーターの育成などを支援する公式認定パートナー資格を取得したと発表し、今後の事業展開に期待した買いが殺到しました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は223円安で続落となりました。先週に急騰していた反動に加え、米トランプ大統領が日本との関税交渉に懐疑的な見方を示したことも売り材料となりました。
明日の材料としては、米国で発表される6月のADP雇用統計のほか、日本では参院選の公示が行われます。参院選に向けて日本市場では政治リスクが意識され、自民党の求心力低下が明らかになれば、円相場や株式市場の重石になると考えられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)