先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数は揃って続伸となり、大きく下落している米国株や日本株とは対照的な値動きとなりました。上昇の要因はやはり、中国が小規模ではあるものの景気刺激策を発表したことで、特にこれまで割安に放置されていた中国の銀行株などの景気循環株に買いが入り、相場を牽引していることです。ちなみに、中国工商銀行(01398)や建設銀行(00939)などの大手銀行株は、今なお予想配当利回りが6%以上となっており、割安感がまだあると思います。

一方でマイナスの材料も出ています。4月10日に発表された中国の3月の輸出は前年同月比6.6%減少と、2月の18.1%減からは回復したものの、アナリスト予想である4.8%増を大きく下回りました。輸入についても、11.3%減となり、2月の10.1%増から大きく減少したほか、アナリスト予想である2.2%減よりも大幅なマイナスに。結果として貿易収支は77億1000万ドルとなり、2月の229億9000万ドルの赤字からは大幅に回復したものの、輸出の急減はサプライズでしたし、輸入の大幅なマイナスも内需の弱さを示唆するもので、週末の株価の足をひっぱりました。

香港株は上昇したものの、米国株下落の影響を受け、本土株ほどには大きな上昇とはなりませんでした。先週も指摘しましたが、米国ではこれまで相場を牽引してきた優良成長株が総じて下落基調に転じており、このまま米国株の下落が続けば香港株への影響も大きなものとなるので引き続き注意が必要なところです。ただ、先週は中国本土と香港の株式相互取引が試験的に実施される方針が発表され、株価にプラスでした。これは本土の投資家が香港市場に上場している銘柄の一部を、反対に香港の投資家は上海に上場している銘柄の一部を試験的に相互に取引できるようにするというもので、双方の市場にとって出来高拡大の好機になる可能性があります。今後の展望については、引き続きインターネット株など、米国株の影響を受けやすい銘柄から資金の撤退が続きやすい状況が続く一方、割安感のある中国の銀行株などの景気循環株に買いが入る展開が続くと予想します。

コラム執筆:戸松信博