米英の貿易交渉合意を好感し、米ドル/円は146円台に

米国と英国の貿易交渉合意の発表を受けて、米ドル高が鮮明になってきました。4月には139.88円まで米ドル安・円高が進みましたが、足元では146円台まで6円の反発となっています。

4月、トランプ米大統領が示した各国への相互関税の数字を受けて、市場は「米国売り」に動きました。米国株、米国債、米ドルの全てが売られるといういわゆる「トリプル安」です。米国と距離をおこうと考える投資家が増えたのでしょう。

その後、トランプ政権は関税発動の90日停止を発表、交渉の進展をアピールすることでパニックを沈静化させることに努めた結果、米国株も大きくリバウンドしています。各国との関税を巡る貿易交渉が始まり、最初に英国との合意に達しました。そしていよいよ中国との交渉開始も発表されました。トランプ米大統領が、「交渉が順調にいけば中国への関税を引下げる可能性がある」と発言したことから、市場における警戒感は以前より後退しているようです。

年初から鮮明だった米ドル売りが逆流

2025年、現在までで最も強い通貨はスイスフランです。SXY:スイスフランインデックスは年初から5月8日までに10.74%も上昇しています。次いでEXY:ユーロインデックスが10.2%、そして2024年までは介入してまでも止めなくてはならなかった円安が一転、2025年は円も強く、JXY:円インデックスは年初から9.56%も上昇しています。ポンド、カナダ、オセアニア通貨も年初からはプラスで推移しています。2025年は米ドル売りが鮮明で、DXY:米ドルインデックスだけが年初からのパフォーマンスが▼8.43%とマイナスに沈んでいました。

しかし、この米ドル売りが逆流しています。トランプ政権は自国の製造業の復活を掲げており、関税交渉では米ドル高是正要求があると市場では警戒を強めていました。しかし、このところ米トランプ大統領から米ドル高是正を求める発言は聞かれなくなりました。

短期間で過度に下落が進んだ分、反発も大きくなるか

米ドル/円相場は年初1月10日の高値158.87円から19円もの米ドル安・円高が進みました。4月22日の139.88円で一旦米ドル安・円高は止まって反発のフェーズに入っています。下落幅に対して38.2%戻りがあれば147.36円,半値戻りがあれば149.37円までの上昇が見込まれます。

関税交渉はまだ英国との合意が発表されただけで、中国、日本、EUなどとの交渉の行方によっては、再び米ドル売りとなるリスクを抱えています。そして、1月~4月のわずか4ヶ月で過度に米ドルの下落が進んだ分の巻き戻しはそこそこ大きなものになりそうです。