アメリカの関税政策や各国の応酬は、ゲーム理論でいう「囚人のジレンマ」や「チキンゲーム」の要素が重なります。協力すれば双方が利益を得られるのに、自国の不利益を恐れて対抗措置をとり続ける点は「囚人のジレンマ」に通じます。一方、互いに譲らず衝突の危険が高まる「チキンゲーム」の構図にも見えます。
このような応酬は関税引き下げなど協調を困難にし、経済全体の非効率を招きやすくなります。持続しやすい構図であるため、放置すれば企業行動を抑制し、経済疲弊のリスクも高まります。理論的な解決策は、信頼関係や第三者機関による調整と言われますが、道筋は見えていません。
株式市場は大きく調整しています。集団に関するある研究では、最初に感情的な反応が広がり、次に分析的な議論が始まるとされていますが、投資判断においては、初期の感情に流されてはいけません。
研究の背景にもあるのでしょう、過去も短期的な値幅調整の後は、日柄調整を経てその後景気に沿った値動きへ移行してきました。景気が良ければ株は上がり、悪化すれば下がります。利上げ局面でも柔軟さを維持してきた米国経済について、今後マーケットの日柄調整の過程で、冷静に景気動向を分析し見極めることが求められます。
理論的に長期化リスクをはらむものの、景気循環的ではなく、人為的な要因が大きいことから、政策を転換すればすぐに状況が改善する余地もあります。短期的には、政権や要人発言に市場が敏感に反応する局面が続くでしょう。こうした時こそ、長期・積立・分散の基本姿勢が、市場の下落局面でも継続的な資産形成の支えとなります。