モトリーフール米国本社 - 2025年3月4日 投稿記事より

エヌビディアがAIを優先する中、AMDはグラフィックカード市場のシェア獲得のチャンス

グラフィックスカード市場は、エヌビディア[NVDA]が90%の市場シェアを独占しています。ジョン・ペディ・リサーチ(JPR)によれば、2位のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(以下、AMD)[AMD]は大きく引き離されています。エヌビディアの市場シェアは変動していますが、同社は長年にわたってAMDに対して圧倒的なリードを保っています。

ここ数年、AIアクセラレータの需要が急増したことで、エヌビディアのデータセンター事業は急成長を遂げています。エヌビディアの2025年度第4四半期において、データセンター事業の売上高はゲーム事業の売上高の約14倍となり、ゲーム事業の売上高は過去1年超で最低水準に落ち込みました。エヌビディアは製造を台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(以下、TSMC)[TSM]に依存しており、ゲーム用グラフィックカードよりも高価な人工知能(AI)アクセラレータを優先しています。

2025年初めにエヌビディアのRX 50シリーズ・グラフィックスカードが発売され、同社の優先事項が明らかになりました。供給は需要を大幅に下回り、品薄状態やメーカー希望小売価格(MSRP)を大幅に上回る小売価格設定につながりました。また、品質管理の不備により、一部のグラフィックカードに欠陥のあるハードウェアが搭載され、ソフトウェア・ドライバのバグが混入して出荷されるなど、さまざまな問題が発生しました。

AMDもAIアクセラレータに注力していますが、同社の2025年のAI売上予想は市場予想を下回る結果となりました。AIチップの売上が急増する中、エヌビディアがゲーム用グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)市場から撤退したように見えるため、AMDはRX 9000シリーズのグラフィックカードでゲーマーの支持を獲得するチャンスがあります。

AMDが新世代のグラフィックカードを発売

AMDは今週末、RX 9070およびRX 9070 XTグラフィックカードをそれぞれ549ドルと599ドルで発売します。AMDが十分な供給量を確保し、小売価格を希望小売価格に近づけることができれば、これらのカードはヒットするとみられます。

この記事の執筆時点ではまだサードパーティによるレビューは出ていませんが、AMDは前世代のグラフィックカードと比較して最大40%のゲーム性能向上を約束しています。AMDは両モデルとも16GBのグラフィックメモリを搭載して出荷の予定ですが、エヌビディアのRTX 5070には12GBのメモリしか搭載されません。RTX 5070は今週にも発売され、希望小売価格は549ドルとなっていますが、この価格で入手するのは需要次第では難しいかもかもしれません。

レイトレーシング(Ray Tracing)とAI搭載機能は、ゲーマーがエヌビディアのグラフィックカードに群がった2つの理由であり、両分野でAMDは大きな進歩を遂げたと主張しています。AMDは、新しいグラフィックカードについて、コンピュート・ユニット(CU)あたりのレイトレーシング処理能力を2倍以上にすることを約束しており、これによってエヌビディアとの差を縮めるのに役立つはずです。レイトレーシングは長らくAMDのグラフィックカードのアキレス腱でしたが、同社はようやくこの技術に真剣に取り組むようになったようです。

AMD超解像機能の新バージョンは、数年来の最大の売れ筋商品となるか

AMDはまた、FidelityFX超解像機能の新バージョンもアピールしました。この機能は、機械学習を利用して画像をアップスケールし、ビジュアル・アーティファクト(画像の乱れ)を低減します。フレーム生成やアンチラグ機能と組み合わせることで、AMDは、これまでエヌビディアがリードしてきた分野で先行しています。RX 9000シリーズ・グラフィックカードに内蔵された新世代のAIアクセラレータが、これらの新機能を実現します。

2025年後半、AMDはRX 9000シリーズのラインナップを拡充し、より低価格帯をターゲットにしたRX 9060製品を投入する予定です。エヌビディアはハイエンド市場では手が届かない存在ですが、AMDは概してミドルレンジ市場でははるかに競争力を示しています。

AMDがエヌビディアから市場シェアを取り戻す時があるとすれば、それはまさに今でしょう。AIブームが依然として勢いを増す中、TSMCにおけるエヌビディアの製造割り当てが消費され、同社がゲーミングGPUを二の次として扱わざるを得なくなっている今、AMDはゲーマーに代替製品を提供する好機会を得ています。

エヌビディアのウルトラハイエンド・グラフィックカードが注目される一方で、グラフィックカード市場の大半は低価格帯で占められています。Steamのハードウェアおよびソフトウェア調査によると、最も使用されているグラフィックカードはミドルレンジカードで、エヌビディアのRTX 4060、RTX 3060、RTX 4060 TIです。9年近く前に発売されたGTX 1060でさえ、SteamではAMDのどのグラフィックカードよりも広く使われています。AMDがアップグレードパスを提供し、小売価格を抑制するのに十分な供給量を確保できれば、RX 9000シリーズはここ数年で最大の売れ筋商品になる可能性があります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Timothy Greenは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ、エヌビディア、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング の株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社情報開示方針を定めています。