先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は小幅安、創業版指数と香港ハンセンは小幅高となっています。このうち上海総合指数は2月19日(水)に強い値動きとなり、2月20日(木)も引き続き強い基調で推移していました。この上昇の背景は2つあります。1つは以前から指摘しているように3月5日から開幕する全人代(中国の国会にあたる)で、株式市場にとってプラスの材料となる政策が発表されるのではないかという期待感。そしてもう1つは、中国第2位の石油グループである(石油精製では最大手)中国石油化工集団(サイノペックグループ)が、ガソリンスタンドなどの販売・流通事業の株式を民間に段階的に開放する計画が発表されたことです。中国政府が進めている経済改革が進展したことと、形によって国営企業にもマイナスばかりでもないことが好感されました。

ところが、2月20日(木)は一旦の上昇後一気に株価が下がりました。HSBCが発表した2月の中国製造業景況指数(PMI)の速報値が48.3となり、1月の確報値である49.5を下回り、7ヶ月ぶりの低水準となったためです。PMIは50が景況感の境目であり、50未満は業況の縮小を意味します。2ヶ月連続で50を下回ったことで中国経済がスローダウンしていることが改めて浮き彫りになりました。もっとも、悪い数字が出たことは一概に悪いことばかりでもありません。2013年7月のような小規模の景気刺激策が誘因されるためです。これで一層、全人代前後での政策発表への期待感が高まったといえるでしょう。

香港ハンセン指数も、2月の中国製造業景況指数(PMI)の発表後に大きく下がりましたが、その後、米国株が堅調だったことから2月21日(金)は反発となり、週間を通しても小幅高で終わっています。今週以降の相場については、前述のように中国政府が政策を微調整して経済や株式市場にプラスとなる政策を出すかどうかの見方に大きな影響を受けると思います。

コラム執筆:戸松信博