先週の「DeepSeekショック」から立ち直るも関税で大幅安に
先週(1月27日週)は、中国DeepSeekが低コストで高性能な生成AIモデルを開発したことをきっかけに、日米のAIや半導体関連株が売られ、日経平均は週初から下落しました。しかし、75日移動平均線で下げ止まると、1月31日にかけてもち直し、25日や下向きの5日移動平均線を上回って終えました。
一方、2月に入ると、再び3日(月)に大幅安となりました。きっかけはトランプ大統領が仕掛けたメキシコとカナダからの輸入品に対する関税の発動です。この関税の実施は当初2月1日からと伝わっていましたが、2月4日からとなり、東京市場が最初に消化する市場となりました。
この関税については2024年末から伝わっていましたが、実際に関税が掛けられる日が近づいてくると、投資家の警戒が広がり、日経平均は窓をあけて下落して始まりました。5日、25日、75日と、3本の移動平均線を一気に下回って1052円安となり、現状では2025年最大の下落幅で終える結果となったのです。
ただ、現地時間2月3日に、メキシコ大統領とカナダ首相がトランプ米大統領と会談を行い、関税の実施が1ヶ月先送りされると伝わってきました。すると、日本時間2月4日には買い先行となり、75日移動平均線と5日移動平均線を上回る場面があったものの、結局5日移動平均線に押し返され、75日移動平均線も下回って終えることになりました。1月中旬に発生した値動きとよく似た形になっているのが分かります。
こうした状況から、1月中旬と同様、早急に75日や5日移動平均線を上回ることが必要になりそうです。また、4万円台を回復するためには、さらに25日移動平均線も上回る必要があるため、これまでの上下を変動する流れを打ち破る材料が必要かもしれません。

※移動平均線の期間は5日(グレー線)、25日(赤線)、75日(青線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示
モメンタムは0ライン近辺を維持できるかに注目
そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ライン近辺で推移しており、上昇、下落どちらの勢いも出ていないことが分かります。レンジ相場の値動きが続くと、モメンタムとシグナルも0ラインを挟んだ上下一定の動きとなり、レンジ相場の値動きがより強調されている状況です。
このようなモメンタムとシグナルの動きになると、上下どちらに動き出すのかが注目ポイントになります。0ラインを挟んだ上下の変動が続いている間は、上限で止まったら「売り」、下限で止まったら「買い」といった、いわゆる逆張り思考で売買判断を行っていく必要があるため、タイミングを逃さないようにしたいところです。
一方で、上限を突破したり、下限を突破したりするようなら、一気に上下どちらかに動き出すことが考えられます。動き出したタイミングを逃さないようにしましょう。なお、上下どちらかに動き出したタイミングを逃さないようにするには、「逆指値注文」などを活用し、発生したトレンドを追いかけることができるように準備しておくことも大切です。
今週は、主要企業の業績発表が多く予定されていますので、個別企業の業績と株価の反応にも注意し、売買判断に役立てたいところです。