東京市場まとめ
1.概況
寄り付き前に、米国のメキシコ・カナダへの25%の追加関税の発動を延期すると伝わり、警戒感がいったん後退したことで日経平均は558円高の39,078円と反発で始まりました。前日に売られていた自動車株の反発が市場をけん引し、前場は620円高の39,140円で取引を終えました。
後場に入ると、上げ幅を縮小する展開となりました。節目の39,000円前後で一進一退に推移するも、14時過ぎに中国への10%の追加関税については、予定通り発動したことで、急速に上げ幅を縮小し、14時7分には70円高の38,590円と本日の安値を更新しました。その後は持ち直すものの、上値は重く最終的には278円高の38,798円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が4日ぶりに反発、0.9%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
三菱自動車工業(7211)は14.7%安の380円をつけ、大幅続落となりました。3日の第3四半期決算にて、通期の当期純利益が従来予想から1,090億円下方修正の350億円(前期比77.4%減)になる見通しと発表したことで、業績悪化を懸念した売りが出ました。
京セラ(6971)は7.4%高の1,696円をつけ、6日ぶりに反発して取引を終えました。3日に第3四半期決算を発表し、通期の当期純利益が従来予想から510億円下方修正の200億円(前期比80.2%減)になるとの見通しを示すも、資本戦略の見直しの一環として4,000億円の自社株買いや保有するKDDI(9433)の株式売却を発表したことが評価されました。
村田製作所(6981)は5.6%高の2,499.5円をつけ、4日ぶりに反発となりました。3日に発表した第3四半期決算で、AI関連の需要が好調であったことから累計の営業利益が前年同期比8.9%増の2,341億円となり、増益を確保したことが好感されました。AI向けに積層セラミックコンデンサー(MLCC)の販売が伸びたことが業績をけん引しました。
ヤマトホールディングス(9064)は3.7%高の1,928.5円をつけ、5日ぶりに反発し取引を終えました。3日の第3四半期決算で、通期の当期純利益が従来予想から130億円上方修正となる180億円(前期比52.2%減)になるとの見通しを発表し、減益幅が縮小する見込みとなったことで買いが入りました。
みずほフィナンシャルグループ(8411)は0.5%安の4,240円をつけ、小幅に続落となりました。3日に第3四半期決算を発表し、累計の当期純利益は前年同期比33.1%増の8,553億円と堅調な業績を示す一方で、通期の見通しは据え置かれたことから株価の反応は冴えないものとなりました。
味の素(2802)は4.4%高の6,501円をつけ、3日ぶりに反発し取引を終えました。3日に第3四半期決算を発表し、第3四半期累計の当期純利益は前年同期比6.2%増の824億円と同期間としては過去最高を更新したことで買いが集まりました。通期予想は据え置かれたものの、進捗率が86.8%となり、業績の上振れ期待が高まったことも買いにつながりました。
VIEW POINT: 明日への視点
前日からの自律反発が見られたものの、対中追加関税がサプライズなく発動されたことにより上値が抑えられました。明日も本日の決算銘柄の動向に注目で、日本では三越伊勢丹ホールディングス(3099)、アステラス製薬(4503)パナソニック ホールディングス(6752)、任天堂(7974)、日本航空(9201)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の決算発表が引け後に予定されています。
米国ではアルファベット[GOOGL]とアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]の決算発表が控えており、ディープシークに揺れたAI関連に関するコメントに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)