昨日は、世界中が第二次トランプ政権の幕開けに注目しました。
就任式については、様々な『異例』が報じられていますが、個人的に興味を惹かれたのは集まった献金額でした。米大統領の就任式費用は基本的に寄付金で賄われるとのことで、今回の献金総額は、史上最高の約2億ドルに達したと報じられています。ちなみに、バイデン氏が2021年の就任式で集めた資金は6200万ドル、トランプ氏の1期目は1億ドル強でした。物価の上昇を考慮しても、今回の額は驚異的です。
一般に、大統領には常に大きな力が集中し、近年はその弊害も目立ちます。極端な例ではありますが、ロシアや韓国など、国によっては、その巨大な権限が大きな混乱を招いています。これらの国と比べると、アメリカは行政=大統領と、立法=議会の役割が厳格に分かれており、両者が議論を重ねることでバランスをとっています。しかし、新大統領に対し、巨額の献金に象徴されるようなパワーの集中が生じると、議会のけん制機能に対する懸念が台頭します。
トランプ氏は初日から40を超える大統領令に署名し、2021年の連邦議会議事堂襲撃事件で起訴されたトランプ支持者ら1590名ほぼ全員に恩赦を与えるなど、早くも、極端な政策に舵を切り始めました。
第一次政権時をはるかに上回る資金調達力をもつトランプ氏が、米国の行政と立法機能のパワーバランスを揺るがせた場合、これまであり得なかったような施策が現実になるかもしれません。もちろんこれは、ポジティブな話もあり、資本力があるAI関連、クリプト、銀行など、資金が潤沢な業界では、規制緩和や政策支援等の恩恵が受けやすくなる可能性もあるでしょう。一方で、政策の予見可能性低下は避けられないでしょう。ボラティリティ上昇を覚悟して、少しリスク量を調整しておく必要がありそうです。