買い物などで貯めたポイントを活用して、お得に生活するポイ活。その達人であり、ポイント交換案内サービス「ポイ探」を運営する菊地崇仁さんに、ポイ活の魅力や貯め方・使い方の極意、ポイント投資での投資方針などについて教えてもらいました。前・後編にわたるインタビューは、これからポイ活を始めたい人はもちろん、ポイ活をブラッシュアップしたい人も必見です。
●プロフィール●
株式会社ポイ探代表取締役。日本電信電話株式会社(現NTT東日本)を経て2002年に起業し、システムの設計・開発・運用を行う。2006年、ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年3月代表取締役に就任。ポイントやマイル、クレジットカードについて中立の立場で語れる数少ない専門家として知られる。約110枚のクレジットカードを保有・活用中。
現実派か夢派か?「ポイントを何に使いたいのか」を明確に
――菊地さんはポイ活の達人でいらっしゃいますが、ポイ活を始めるときに、まず大切なことは何でしょうか?
「何のためにポイ活をするのか」という目的をしっかり持つことです。つまり、「ポイントを何に使いたいのか」を明確にすること。目的には2パターンあって、1つは現実的な使い方。貯まったポイントを割引サービスなどに使う方法です。もう1つは夢のある使い方。例えば貯まったポイントで年1回ホテルに泊まるとか、ポイントをマイルに換えて飛行機に無料で乗るなどの使い方です。
どちらを選ぶかによって、貯め方も大きく違ってきます。現実的なパターンならば、ポイントが貯まったら、なるべく早めに使います。近頃の物価高に対応する意味でも、日々の生活の中でポイントをどんどん活用する使い方です。一方、夢のあるパターンならば、例えば、どこに行くために何マイル必要かを把握し、その目標に向かってポイントを貯めていきます。このパターンは目標が明確でないと実現が難しいかもしれません。
――ポイ活において重視していることを教えていただけますか?
ポイ活を始めると、つい貯めることに集中しすぎて、使うことがおろそかになりがちなのですが、ポイ活の最終目的は「使うこと」だということを忘れないようにしてほしいと思います。
ポイントは使って初めて効果を得られるものです。有効期限があるポイントも多いので、使わないでいると失効してしまうこともよくあります。また、ポイントには補償がありません。金融庁が管轄する「前払式支払手段」にあたることから、不正使用などの被害にあった場合でも補償される電子マネーとは、ここが異なりますね。
家族5人分の航空券代がポイ活でほぼ無料に
――菊地さんはどのような目的でポイ活をされているのですか?
私の場合は旅行です。そもそもポイ活を始めたのも、大学時代に地元の北海道へ帰省する際に、貯まったマイルを特典航空券に交換できる制度に関心を持ったからなのです。当時は今のような共通ポイント(複数の企業・店舗が加盟できるポイントプログラム)がなく、クレジットカードのポイントをマイルや商品などに交換して使うことが主流でした。
今ではポイ活のおかげで、帰省や旅行に出かける際の家族5人分の航空券代はほぼ無料です。貯めたポイントをマイルに換え、特典航空券に交換しているので、お金を払って航空券を買うことはないですね。
ただ、マイルに交換できないポイントも一定数あります。その場合は、日常的な買い物に使ったり、交換が可能ならApple Gift Cardを買ったりします。Apple Gift CardはiPhoneなどのハードウェアを購入する時はもちろん、クラウドストレージの支払いにも利用できて便利ですよ。
――菊地さんはポイ活で家を建てたと聞いたのですが、本当ですか?
さすがに、ポイ活で貯めたポイントで不動産を買うことはできませんが(笑)、日常生活にかかる費用をできるだけポイントで支払って、現金を使うのを節約しました。そうして貯めたお金を使って家を建てたというのは事実です。
5大共通ポイントをメインに効率的に貯める
――ポイントを効率的に貯めるにはどうすればいいでしょうか?
dポイント、Vポイント、PayPayポイント、Pontaポイント、楽天ポイントの5つの共通ポイントを中心に貯めていくのが効率的だと思います。そこにサブ的なポイントとして、どこまで手を広げるのかを考えるのも大事ですね。
つまり、共通ポイントにプラスして、お店独自のポイントなども貯めるのかということです。例えば、マツモトキヨシで買い物をした時に、共通ポイントのdポイントに加えて、マツキヨ独自のマツキヨココカラポイントをどうするか?を考えます。
dポイントのアプリとマツキヨココカラポイントのアプリを両方とも提示するのが面倒なら、dポイントアプリだけを提示する。あるいは、共通ポイントのアプリを出すのも面倒なら、クレジットカードのポイントだけにするという選択肢もあります。ポイ活で100点満点を目指すのは大変です。どこまでならできるかを考えて、取捨選択するのがよいと思います。
ポイ活では100点満点を目指さない
――5大共通ポイントから最適なものを選ぶコツはありますか?
利用している携帯キャリアから考えるのがいいと思います。ドコモならdポイント、auならPontaポイント、ソフトバンクならPayPayポイント、楽天モバイルなら楽天ポイントですね。あとは、よく利用するお店から考えるのもよいでしょう。ローソンならPontaポイント、セブン-イレブンならばVポイント、ファミリーマートならdポイント、楽天ポイントなどが貯まりやすいですね。
5大共通ポイントは、現状では期間限定ポイントでない限り、ポイントが失効することはほとんどない仕組みになっています。無理にどれかひとつの共通ポイントに絞らなくても、とりあえず全部持ってみて、使いながらメインとサブを決めてもよいのではないでしょうか。
――ポイ活で気をつけるべきことがあれば教えてください。
私は、無駄なポイントを貯めないようにしています。仕事上、あえて使い切れないポイントを作ることもありますが、そういう場合は無理に使うことはせず、失効させています。数十円分のポイントを失効させたくないからと、1,000円、2,000円の買い物をするのは単なる無駄づかいです。ポイ活に熱心になるほど、その落とし穴に入ってしまいがちだと思うので、「ポイ活では100点満点を目指さない」ということも意識してほしいですね。
後編では、「100ポイント貯まれば全額ポイント投資」を実践する理由をお届けします。
写真:竹井 俊晴
※本インタビューは2024年11月7日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。