ヘッジ・ファンド或いは昨日書いたプライベート・エクイティ・ファンドのようなファンドに適正規模というものはあるでしょうか?以前から何度も書いているジョン・メリウェザー氏の新しいファンドはまずはスタートの12月をいい成績で終えたようです。
このファンドのサイズは2億5000万ドル(約260億円)です。私の個人的な感覚ですと、ヘッジ・ファンドの適正規模はこの250億円からせいぜい500億円程度ではないでしょうか?大きければいいというものではありません。大き過ぎると、資金に対するリターンを実現するために無理をして投資先を求めるようになります。結果、投資の選定基準が甘くなって、或いは敢えてリスクを取りに行くようになって、良くない成績を生むことがママあります。投資主体の資本に対する適正リスク・マネー額というものがあるべきだということは以前に書きましたが、投資対象であるマーケットに対してもやはり適正投資額というものがあります。適正規模を越えた投資は、いずれその投資自体が傷むことがありますが、それと同時にその投資対象に対して同時期に投資したその他の投資家もその煽りを受けることがあることを憶えておきましょう。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。