【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 43,988.99 △259.65 (11/8)
NASDAQ: 19,286.78 △17.32 (11/8)
1.概況
先週末の米国市場は主要3指数が揃って上昇しました。米大統領選で勝利したトランプ次期大統領の拡張的な経済政策への期待やFRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げを追い風にリスクオン姿勢がみられました。ダウ平均は39ドル高で取引を開始しました。同日発表されたミシガン大学消費者態度指数11月の速報値では、消費マインドの改善がみられ、消費を中心とする米経済の底堅さが意識されたことが株価を支えました。総じて、堅調に推移したダウ平均は取引終盤に427ドル高まで上げるも、引けにかけては上げ幅を縮小し、259ドル高(0.59%)の43,988ドルと最高値を更新して取引を終えました。ハイテク株比率の高きナスダック総合指数は、構成銘柄内でまちまちの結果となり伸び悩みましたが、17ポイント高(+0.08%)の19,286ポイントで取引を終え、S&P500株価指数は一時節目の6,000ポイント超える場面も見られ、最終的には22ポイント高(+0.37%)の5,995ポイントで取引を終え、揃って史上最高値を更新しています。
2.経済指標等
11月の米ミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は73.0と市場予想の70.9を上回り、7ヶ月ぶりの高水準をつけました。前月からも拡大が確認され、消費マインドが上向いていることが示されました。
3.業種別動向
S&P500の業種別指数では、全11業種のうち8業種が上昇しました。特に、公益事業や不動産、生活必需品、一般消費財・サービス、資本財サービスが1%以上上昇しています。一方で、素材、コミュニケーション・サービス、情報技術の3業種が下げ、中でも素材は0.9%下落し、下落率トップとなりました。
4.個別銘柄動向
米国市場では、ダウ平均構成銘柄のうち21銘柄が上昇しました。なかでも、セールスフォース[CRM]は、3.6%上昇、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]は2.6%上昇と指数をけん引しました。また、トラベラーズ[TRV]、メルク[MRK]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、ホームデポ[HD]の4銘柄は1.5%以上上昇しています。一方で、9銘柄が下落しました。キャタピラー[CAT]が3.6%下落し大幅続落、アマゾン・ドットコム[AMZN]やエヌビディア[NVDA]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]が0.8%程度下落、マイクロソフト[MSFT]は0.7%下落となりました。
ダウ平均構成銘柄以外では、テスラ[TSLA]が8%超上昇、巨額の資金援助をした米大統領選にてトランプ次期大統領の勝利に貢献したことで、同社の先行きを楽観視した買いが入りました。なお、先週1週間では29%上昇し、約2年7ヶ月ぶりに時価総額は1兆ドルを超えています。テーザー銃やクラウドベースのデジタル証拠管理ソフトウェアを手掛けるアクソン・エンタープライズ[AXON]が第3四半期決算にて、市場予想を大幅に上回る業績を発表したことで28%超上昇する大幅高となりました。第3四半期決算にて、調整後EPSが市場予想を上回ったことをきっかけに、エクスペディア[EXPE]は3.8%上昇しました。また複数のアナリストによる目標株価の引き上げ発表も株価を押し上げました。アカマイ・テクノロジーズ[AKAM]は第4四半期のガイダンスが市場予想を下回る内容であり、14%超下落しました。
5.為替・金利等
長期金利は0.03%ポイント低い4.30%となりました。ドル円は、152円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は、米国市場のリスクオンの流れを引き継ぎ、上昇してのスタートが予想されます。今週の1週間でほとんどの企業の決算が出揃うことから、決算の内容に準じた銘柄物色が続くと考えられます。また、トランプ次期大統領の政策の詳細や影響にも少しずつ焦点が当てられると考えられ、輸入関税の引き上げによって影響のある自動車等の米国向け売上の大きい企業はボラタイルに動く可能性があるでしょう。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)