2024年8月7日(水)14:00発表
日本 景気動向指数2024年6月

【1】結果:景気動向指数は3指数そろって下降

2024年6月の景気動向指数は、3指数そろって下降しました。先行指数、一致指数についてはBloombergが集計する市場予想を下回る結果となっています(図表1)。

【図表1】2024年6月 景気動向指数速報値の結果
出所:内閣府よりマネックス証券作成

図表2のグラフにて指数の推移を確認すると、一致指数は今回6月速報値の下降幅が大きく見えますが、均してみれば横ばいから緩やかな下降が確認できます。先行指数も同じく、足元では下降トレンドといえるでしょう。

遅行指数については今回の結果は下降していますが、トレンドは依然として緩やかながらも上昇基調と見受けられます。同時に内閣府より発表される基調判断は、前回から変わらず、景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す「下げ止まり」と発表されています。

【図表2】景気動向指数の推移(2020年=100、シャドーは景気後退期)
出所:内閣府よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:生産・出荷の低下が景気動向指数に寄与

今回6月の速報値では、鉱工業生産関連の指標が軒並み指数を下押ししました。一致指数では、鉱工業生産指数がマイナス0.63%ポイント、出荷関連の3系列で2.34%ポイントと一致指数の下降の大半を占めています。

実際に鉱工業生産・出荷を確認すると6月は生産が前月比マイナス3.6%、出荷がマイナス4.3%と揃って急落しており、またそれぞれ集計される15業種すべてにおいて前月から低下する内容が示されています。生産・出荷ともに一部で自動車工業の工場稼働停止の影響が依然として見られる他、半導体製造装置などの生産用機械は生産・出荷ともに低下しており、需要低下が示唆される内容でした。

これらを受けて、景気動向指数も下降する結果となっています。本日の景気動向指数の結果をみると先行きへの懸念がうかがわれますが、企業の生産計画が7月・8月は上向くと、経済産業省からコメントもあり、先行きは一進一退で推移していくものと考えられます。

【図表3】鉱工業生産指数、鉱工業出荷指数の推移(2020年=100、季節調整済)
出所:経済産業省よりマネックス証券作成

【3】所感:8月15日発表のGDPにて、景気の上向きを確認できるかが鍵

景気動向指数から読み取れる基調は概ね横ばい、一進一退の印象です。自動車工業の稼働停止再開の影響が第2四半期中に期待されましたが、直近公表の6月鉱工業生産指数においても、その影響があると言及されるなど、生産環境の正常化には時間を要している様子です。

来週8月15日(木)にその第2四半期のGDP速報値が公表されます。事前の市場コンセンサスでは、前期比年率2.3%増(Bloombergによる集計、季節調整済、年率換算値)と第1四半期のマイナス2.9%から大幅に改善が予想されています。

足元の消費動向は消費活動指数(図表4)からも底堅く、緩やかに上向きで推移しており、第2四半期のGDPにおける個人消費はこれまで4期連続でのマイナス寄与の現状から改善すると考えられるでしょう。内需の改善が示されれば、1つ日本経済にもポジティブなニュースと考えています。

【図表4】消費活動指数(2015年=100)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太