バイデン大統領の撤退表明、マーケットは想定内
バイデン大統領がついに、11月の大統領選から撤退すると発表しました。周囲からのプレッシャーを受けてであろうことは想像に難くありません。現職の大統領が二期目を目指さないと発表したのは、1968年のリンドン・ジョンソン大統領以来のことで、最近の米国政治においては前例がありません。
しかし株式市場の反応はというと、7月22日(月)のマーケットはしっかり上昇しており、想定内の事が起きたとみているようです。
バイデン大統領の選挙戦撤退を受け、カマラ・ハリス副大統領が民主党の大統領候補となります。8月19日に開幕予定の民主党全国大会までに、彼女は次の4年間のランニング・メイトとなる副大統領候補を決定する必要があります。
バイデン大統領の撤退発表直前の米CBSニュースの世論調査によると、バイデン大統領とトランプ前大統領の支持率はそれぞれ47%と52%の5ポイント差でした。一方、トランプ前大統領とハリス副大統領の場合はトランプ前大統領への支持率51%に対し、ハリス副大統領は48%となり、その差は3ポイントに縮まります。そういった意味でも、今後トランプ前大統領によるハリス副大統領に対する姿勢はかなり激しいものとなってきそうです。
極端な発言はマーケットの不確実性を生む
実際、7月13日に起きた銃撃事件後、急激に人気を獲得したトランプ前大統領の発言は、これまで以上に鼻息が荒くなっています。先週の米メディアとのインタビューでは、台湾の防衛に関して「台湾は我々に防衛費を支払うべきだ」と発言し、日本へも圧力をかけてくる可能性が高まっています。また、中国に対しては、中国からの輸入品に60%の関税をかけることなどを主張しています。このような発言はヘッドラインリスクであり、マーケットの不確実性を生むことになります。
トランプ前大統領、再選すれば減税や規制緩和を推進か
これらの発言はその日のマーケットのセンチメントにとっては良いものではないでしょう。トランプ前大統領は前回大統領就任中、株価が上昇すると自分の手柄かのように振る舞い、SNSでもそのような発言を繰り返していました。トランプ前大統領は、同盟国との協調より米国の利益を優先するアメリカの為のリーダーとして政策を推進していくことは、もはや世界中の政府や投資家が知るところです。
しかし、彼の発言がいかに不確実性をもたらすものであったとしても、再選後には減税、そして、規制緩和を推し進めることでしょう。それは米国、米国企業、ひいては米国の株式市場にとって明らかにポジティブなことです。ですから、トランプ前大統領が選挙前に不確実性が高まる発言を行い、マーケットのボラティリティが高まったとしても、最終的には米国株式市場の上昇は継続しそうです。