トリプルトップを打ち消し、最高値を更新した日経平均

前回のコラムでは、3月15日の終値と4月5日の終値を結んだ抵抗線を突破して終えていたことから、トリプルトップが打ち消される可能性について解説しました。また、上値の抵抗線を上回ったまま維持するようですと、3月につけた過去最高値に接近したり、上回ったりすることが視野に入るとも解説しました。

そして解説した通り、抵抗線を上回った状態が続いたことから株価の上昇が続き、ついに過去最高値を更新するとともに7月9日には史上初となる41,500円台で終える結果となりました。

そのような中、株価水準を切り上げる重要な役割を果たしたのが5日移動平均線の向きと株価の位置関係です。前回は、上値の抵抗線を上回ったところから上向きの5日移動平均線を一度も下回ることなく水準を切り上げたため、一気に3月22日につけた高値を更新する結果になったと考えられます。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

今後予想される展開と注意点

では、今後の展開ですが、引き続き5日移動平均線上を維持できるかがカギになると思われます。仮に5日移動平均線上を維持するようですと、株価水準が切り上がり、42,000円に接近したり、上回ったりすることも視野に入りそうです。

一方で、5日移動平均線上を維持できずに割り込むようですと、5日移動平均線が下向きに変化して上値の抵抗になり、反落することが考えられるため注意が必要です。

また、今回の上昇で株価と25日移動平均線との乖離が広がっているため、5日移動平均線を下回って戻せなくなるとともに3月22日の高値を下回ってしまうようですと、25日移動平均線辺りまでの下落が視野に入るため、高値掴みを避けるとともに売り時を逃さないようにする必要があると思われます。

モメンタムの注意点

モメンタムを見ると、直近の高い水準を上回って上昇を続けているのが分かります。このモメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方の上昇が続いたために上昇の勢いが強まり、株価が5日移動平均線上を維持してさらに水準を切り上げることができたのではないかと考えられます。

ただ、モメンタムとシグナルの水準はどこまでも切り上がるわけではありません。過去の水準を見ると、2024年1月22日につけた水準に接近しているのが分かります。

そのため、モメンタムとシグナルのピークアウトに注意が必要です。仮に2本線が1月22日の水準に接近して上回ることができなかったり、ピークアウトして下向きに変化したりするようですと、上昇の勢いが弱まって5日移動平均線上を維持できずに割り込むことが考えられます。

また、2本線が下向きに変化して低下が続くようですと、3月22日の高値も下回ることが視野に入るため、高値掴みは避けるとともに売り時を逃さないようにする必要があると思われます。

国内企業の業績発表が本格化する前に上昇している日経平均ですが、このまま上昇トレンドを維持できるのか。モメンタムの方向と水準にも注意し、売買判断に役立てたいところです。