9月中旬以降の上海総合指数ですが、月の半ばまでは欧州、中国経済の回復期待や米国株の堅調な動きによって上昇しました。しかしながら、その後、米国株が反落し、世界的にリスクオフ志向が鮮明になると、月の後半にかけて下落していきました。一方、深セン総合指数と創業版指数、香港ハンセン指数はいくらかその影響を受けていますが、基本的には月を通して強い基調で推移。特に創業版指数は先週、再び年初来高値を更新しています。その他、テンセント(00700)などの中国のネット株が高い動きとなっています。投資資金は引き続き業績が良い見通しの中小型株やネット株に向かっている様子です。

 中国の材料としては、まず10月1~7日まで大型連休となることがあります。連休中に大きな変動がある可能性もあることから、特に上海株式市場では先週末の取引は手控えられる傾向がありました。もう1つは9月29日に以前からお伝えしている上海自由貿易特区が開設されることが報じられたことです。上海自由貿易特区では人民元に関する規制やインターネット規制が撤廃される見込みであり、その他、金融サービスを含めたサービス業の自由化が期待されています。たとえば、インターネット規制の撤廃については中国でウェブアクセスが禁止されているフェイスブックやツイッターなどへのアクセスが認可される見通しです。このため、中国のネット株は業績拡大の場が広がるとの見通しもあり、株価が上昇しています。

 香港株についてはやはり米国のQE3縮小の延期が株価に大きな影響を与えています。香港ドルは米ドルにペッグしていますので香港の金利は米国の金利に連動します。そして香港ハンセン指数では香港の不動産株が大きなウェートを占めています。QE3縮小の延期により香港の金利上昇が延期する見通しとなったことで長江実業(00001)や新鴻基地産発展(000016)などの不動産株が上昇して、指数上昇の牽引役となりました。今後についてはやはり米国株の動向が1つのキーポイントになるとは思いますが、その他では、いよいよ11月に迫った三中全会を前にして政策が出てくるかどうかということがあります。

コラム執筆:戸松信博