2024年5月10日(金)14:00発表
日本 2024年4月の景気ウォッチャー調査
【1】結果:現状・先行きともに低下
現状判断DI 47.4(50.3)
先行き判断DI 48.5(51.6)
(カッコ内はBloomberg集計による市場予想、中央値)
2024年4月の景気ウォッチャー調査は、現状判断DIが前月差-2.4ポイントの47.4、先行き判断DIが前月差-2.7ポイントで48.5と2指標ともに市場予想を下回る結果となりました。
内訳をみると、現状判断DIでは家計動向関連・企業動向関連・雇用関連のすべての指標で低下しています。先行き判断DIでは、雇用関連のみ前月差で上昇するも家計動向関連・企業動向関連の2指標は低下しました。
【2】内容・注目点:円安への懸念コメントが散見
2024年4月の景気ウォッチャー調査では、現状・先行きともに2ヶ月連続の低下となりました。発表では、「景気は、緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」といったコメントでした。
しかし、回答の多くで円安による家計・企業への圧迫が懸念といったコメントが前回の3月の公表資料から約3倍程度(※)増えており、景気に対する現状への不安感が今回の指標に反映されていることがわかります。
足元では為替介入によって円安は上値が抑えられていますが、米ドル/円の為替レートが150円台を切る水準まで戻らなければ家計・企業の不安感を払しょくすることが難しいと考えられます。
(※)景気判断理由集(現状)の3月・4月の公表資料にて、円安への言及回数を比較
【3】所感:現状の円安水準は、やはり懸念感が大きい
全体感としては景気後退であるといった内容ではなかったものの、4月に急落した円相場への懸念が目立つ内容となりました。
各回答を見てみると、小売業からは円安によって家計への逼迫が続き、消費が細るといったコメントもあり、円安トレンドは家計の生活防衛行動を推し進めると考えられます。円安は輸入物価に影響しますが、輸入物価の推移と消費者物価の推移を比較すると、輸入物価指数のピーク(またはボトム)と消費者物価指数のピーク(またはボトム)は時間差をもって示されます(図表3)。
つまり、円安の波及にラグがあると推定でき、ラグの期間を集計すると、概ね4ヶ月半のラグがあると考えられます。景気ウォッチャー調査の回答でも肌感覚として米ドル/円150円台は大きな懸念であることが示され、この水準が数ヶ月(試算では4ヶ月強)続く場合は、基調的な物価をコストプッシュで押し上げる可能性があるでしょう。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太