S&P500はITセクターが牽引 5,000ドル超え

新しい年を迎えてまだ1ヶ月半なのですが、世界的に株式市場は堅調に推移しています。日経平均株価は34年ぶりの高値を更新しましたが、アメリカ株も負けてはいません。

S&P500は先週2月8日(木)に初の5,000ドル台に乗せましたが、翌日9日(金)には引け値ベースで5,000ドルを超え、史上最高値を更新しました。先週1週間のS&P500の上昇率は1.37%です。S&P500が5,000ドルというマイルストーンを超えたというのは、投資家にとって心理的に大きな意味を持ちます。

また、S&P500はこれまでで15週連続で上昇していますが、これは1972年以来の長い記録です。ナスダック100も先週1.81%上昇し、2月9日(金)に史上最高値を更新しています。

S&P500の史上高値の更新に貢献したのはテクノロジーセクターです。S&P500の情報技術(IT)セクター指数は先週3.2%上げていますが、ITセクターに最も貢献したのはフィラデルフィア半導体(SOX)指数で先週5.32%上昇しています。半導体セクターで目立ったのはアーム・ホールディングス[ARM]。 2月8日(木)に48%上昇、先週1週間では62%上昇しました。ARMは2023年9月に上場して以来それほど時間も経っておらず、SOX指数採用銘柄ではありません。もし、ARMがSOX指数に採用されていたならば、指数の上昇は5.32%どころではなく、もっと上昇していたことでしょう。

中小型銘柄も幅広く上昇しているのは良い傾向

市場におけるマグニフィセント・セブン(※)銘柄に偏った株価の上げが問題視されていますが、マーケットの水面下では少し安心できる動きが散見されています。

2023年10月27日のマーケットの安値からの先週末まででS&P500は22.1%上昇しているのですが、S&P500のITセクターは31.2%上げています。一方、中型株指数であるS&P400のITセクターは同期間に35.5%上げ、S&P500のITセクターの上げを4.3%ポイント上回り、大型銘柄だけでなく、中型銘柄が活躍する相場となっており、市場の裾野が広がっていることが分かります。このようなマーケットの裾野が広がっている展開はマーケット全体にとって良い傾向だと思います。

3月の利下げ先送りも、第2四半期の好決算で株価は上昇

先週2月5日(月)は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が週末の米国の報道番組で、市場が期待する「3月の利下げはベースケースではない」と発言、金利についてはHigher for longer(より高く、より長く)を強調しましたが、市場の懸念は一時的となり高値を更新しました。このところの株価の上げは事前予想を上回る第2四半期の決算発表のおかげと言えるでしょう。

先週末までS&P500採用銘柄のうち334社(67%)が決算発表を終えており、そのうち79%の企業がサプライズを発表しています。前年比では5.1%の増益となっており、第3四半期の実績値である4.9%の増益を上回るペースで発表です。2023年末の段階での第4四半期の決算発表については、1.6%の増益予想でしたので、1ヶ月以上かけて大きく上方修正が起きていることになります。

決算発表を受けて株価が大きく上昇したのは、先に述べたARMに加え2月5日の引け後に好決算を発表したパランティア・テクノロジーズ[PLTR]でした。同社の株価は決算発表を受け1日で31%上昇し、市場を驚かせました。このような急な株価上昇の一因はARMと同じくAIが業績に与える影響を、今まで市場が過小評価していたためです。AIは決して一時的なブームではなく、息の長い投資のテーマであると考えられます。

(※)アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]の7銘柄