先週の上海株式市場と深セン株式市場、香港株式市場は揃って小動きながらも、週間では反発となりました。先週の材料としては国家統計局が発表した6月の中国の公式製造業景況指数(PMI)が50.1となり、5月の50.8から低下(市場平均のアナリスト予想値とは一致)し、HSBCが発表した6月のPMI確報値も48.2となり5月の確報値49.2、6月の速報値48.3をいずれも下回りました。しかしながら、公式製造業景況指数がアナリスト予想と一致したことや景況感の境目となる50を上回ったこと、流動性を巡る懸念が薄れたことなどから、逆に6月末の急落により、株価が下がった優良株を拾う動きが反発につながりました。
中国人民銀行(中央銀行)は深刻な状況に陥った金融機関を見捨てることはないとしながらも、常に中央銀行が支援を行えば、銀行は理財商品の販売や迂回融資など、投機、安易な融資に対する構造改革を止めてしまう可能性があるとしています。また、中国政府は理財商品の監視を強化する方針を打ち出し、同時に生産能力が過剰な産業で認可を受けていないプロジェクトに対する融資も禁じる方針も発表しています。つまり、当面はタイトな金融政策が続くことが改めて示された格好となり、中期的に株価の頭を抑えることになりそうです。
一方、海外市況の影響を受けやすい香港株式市場は欧州中央銀行(ECB)が現在行われている超低金利政策を当面維持すると明言したことや米雇用指標が好調であることを受け、上海株式市場と深セン株式市場よりも反発幅は大きくなりました。今週は中国の経済指標の発表が相次ぎます。7月8日にマネーサプライ、9日に消費者物価指数、10日に貿易統計が発表されます。これら中国の経済統計を睨みながらも、引き続き上海総合指数、深セン総合指数、香港ハンセン指数はともに50日移動平均線までの反発を試すところと思われます。
コラム執筆:戸松信博