アマゾンの売上高は、5四半期ぶりの高水準
米アマゾン・ドット・コム[AMZN]が2024年2月1日に発表した2023年10-12月期の決算は、売上高が前年同期比14%増の1699億6100万ドル(約24兆8900億円)だった。3四半期連続の2桁増収で、2022年7-9月期以来、5四半期ぶりの高水準だった。
営業利益は同4.8倍の132億900万ドル(約1兆9300億円)で、4四半期連続の営業増益となった。主力のEC(電子商取引)事業が好調だったことに加え、営業費用の伸びを抑えて好業績につなげた。
同四半期の純利益は106億2400万ドル(約1兆5600億円)で、前年同期の38倍だった。前年同期は、米新興電気自動車リヴィアン・オートモーティブの評価損を計上した影響で純利益が大幅に減収しており、当期純利益の大幅増はその反動によるものだった。
1株利益は1ドル(前年同期は3セント)で、売上高とともに市場予想を上回った。同日の米株式市場の時間外取引でアマゾンの株価は9%超上昇した。
アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は決算説明会で、「10-12月期は、アマゾンにとって記録的なホリデーショッピングシーズンとなり、2023年の堅調な業績を締めくくることができた」と述べた。
出品者事業20%増、広告収入は27%増で過去最高に
事業別売上高は、直営のネット通販事業が前年同期比9%増の705億4300万ドル(約10兆3300億円)で、7%だった前四半期の伸び率を上回った。外部出品者からの手数料収入や出品者向け物流サービス収入は同20%増の435億5900万ドル(約6兆3800億円)だった。
有料プログラム「Amazonプライム」の会費などサブスクリプション(定額課金)収入は、前年同期比14%増の104億8800万ドル(約1兆5400億円)。自社ECサイトやECアプリ内で展開するネット広告事業の売上高は、過去最高の146億5400万ドル(約2兆1500億円)となり、前年同期から27%増加した。四半期広告収入は2四半期連続で100億ドルを超えた。
傘下の「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」や直営の「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」などの実店舗事業の売上高は同4%増の51億5200万ドル(約7500億円)だった。
CFO「企業顧客はAWS上の生成AIに高い関心」
一方、クラウド事業「Amazon Web Services(AWS)」の売上高は前年同期比13%増の242億400万ドル(約3兆5400億円)だった。AWS事業の増収率は、2四半期連続で過去最低水準にとどまっていたが、当期は1ポイント上昇した。
ブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)は、「AWSの顧客のうち一部がまだ支出に慎重であるものの、2024年に収益成長がさらに加速する」と述べた。企業顧客はAWS上で生成AIアプリケーションを実行し、基盤モデルを構築することに高い関心を示しているという。一方で、同氏はAIサービスがAWS事業にどの程度貢献しているかについての言及を避けた。
AWSは2023年11月に開いたイベントで、機械学習(マシンラーニング)のトレーニング専用半導体「Trainium2(トレーニアム2)」や、サーバーCPU(中央演算処理装置)の「Graviton4(グラビトン4)」、企業向けの生成AIサービス「Amazon Q」などを発表した。生成AIサービスの料金は、1人当たり月20ドル(約2,930円)からとし、米マイクロソフト[MSFT]や米アルファベット[GOOGL]のサービス(月30ドル、約4,400円)よりも低く設定した。
アマゾンは2023年9月、生成AI開発の米新興企業、アンソロピックと戦略提携し、最大40億ドル(約5900億円)を出資すると明らかにした。アンソロピックの技術をAWSで提供し、顧客企業が生成AIを自社サービスに組み込めるようにする。
(1ドル=146.46円で換算)