今年は選挙イヤーでもあり、今年は、お金の流れ以上に、正しい情報の流れを確保することがテーマだと思われます。この話は、今朝TV東京のニュースモーニングサテライトで軽く話したのですが、今朝は胃腸炎で吐き気がひどく、とにかく無事コメントが終わることだけを願った結果、あまりお伝えできなかったので、続編です…。
数年前から、GAFAMなどの米ITジャイアントの猛烈な寡占による問題や、独禁法の議論があります。現在日本でも、スマホの世界で大きな法改正が検討されています。昨年取りまとめられた「モバイル・エコシステムに関する競争評価」をもとにこの春にも法改正の議論が行われます。具体的には、アップルやグーグルといったOS業者への規制を厳格化し、たとえば、OS等の仕様変更時には事業者等への事前開示義務やOS機能へのアクセスの提供義務、OS業者の自前アプリストア以外からのダウンロードを妨げてはならない、などいくつかの厳しい規制が盛り込まれようとしています。
ただ、意図せざる結果を招かないかという不安もあります。例えばアプリストア以外からのダウンロードの容認。一見、利用者の自由度が高まるようにも思いますが、セキュリティは大丈夫なのか…。法改正議論の中では、OS業者がアプリのセキュリティの認証をするなどともされていますが、果たして、一般利用者がセキュリティレベルや認証を確認することができるのか。そうした確認の責務を別に本業を持つ多忙な利用者側に負わせるのが、本当に安全かつ効率的なのかは疑問です。
また、OS等の仕様変更時の事前開示については、欧米にはこうした法律はなく、かつてプログラム医療機器で発生したような、日本での開発の遅れや個人の利便性低下のリスクが懸念されます。個人情報保護についても、既存の個人情報保護法をベースに法整備をしようとしているため、例えばスマホのカメラへのアクセスなどの今のIT技術に関わる手当が手薄だともされます。
一番の問題は、今や一瞬たりとも肌身離せないスマホの利便性やセキュリティを決める重要な議論であるにも関わらず、利用者の意見への周知が全く不十分で、民意が反映されていない印象があること。広いステークホルダーの意見を聞きつつ、海外との平仄も合わせるべきところは合わせて、慎重に議論を進めないと、スマホの利便性や価値が低下しかねない、大きな問題だと思います。