金融政策決定会合を受けて、金利低下・円売り・株高の反応
日本銀行は本日の政策委員会・金融政策決定会合において、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と呼ばれる現在の金融政策運営を維持しました。ETF等の資産買入れ方針にも変更は有りません。また、「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」とするフォワードガイダンスは前回表現と全く同じものが示されました。
今回の会合はコミュニケーションツールとして重視される展望レポートが無く、金融政策据え置き自体は市場予想通りですが、今後の正常化への動きを示唆するようなフォワードガイダンス等の文言変更が一部では期待されておりましたが、それもなかったことから1月に何らかの変更がある可能性も後退しております。市場では金利低下、円売り、株高の反応となりました。また後述の記者会見も円安圧力となりました。
12月7日に植田総裁が国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言、またその前日には氷見野副総裁から「出口のタイミングや進め方を適切に判断」と言及があるなど、緩和政策への修正が意識されたことで市場も円高で反応しました。
金融緩和の解除に向けた動きは、市場予想以上に緩慢な速度か
今回、総裁発言の真意も含めて見方の変化等注目された会見ですが、金融緩和の解除に向けては慎重なトーンが強かった印象です。物価目標実現の確度は高まっているものの、政策変更に至るにはなお時間が必要とのスタンスであり、具体的に何が見えれば姿勢が変化するのかについては総合判断という抽象的な表現にとどまりました。また、「チャレンジング」については仕事の取り組み姿勢一般に対するもので市場に対する発信では有りませんでした。
会見中に総裁の賃金上昇へのポジティブなトーンを受けて一時円買いが強まるなど、少しでも変化を期待する投資家の存在が感じられる一方、時間をかけて市場と対話する姿勢からは1月のトーン変化の期待も遠のいた印象です。今後もじっくりと定量・定性データを消化しながら市場予想以上に緩慢な速度で出口戦略に向かうことになりそうです。