先週の上海総合指数と深セン総合指数は、前半は堅調だったのですが、週末に反落となり、週間では小幅高で終わっています。前半は小型株が株価上昇を牽引。中国政府が景気梃子入れのため、先進技術革新に注力するとの思惑から、優秀な技術力を持つ中小株が買われました。そして資金循環から、株価指数に大きなウェートを持つ金融株や不動産株が買われ、28日(火)の上海総合指数は大幅高となったのですが、その後利益確定売りが出ました。特に5月31日(金)は6月1日(土)発表の、5月の中国公式製造業景況指数(PMI)が悪い数字になるのではないかという懸念から利益確定売りが進み、急反落となりました。

ただ、実際に発表された5月の中国公式製造業景況指数は予想に反して4月の50.6から50.8へと小幅改善。中国経済の力強い回復を示すほどのインパクトは無かったものの、先週お伝えしたように、同じ製造業景況指数でも、HSBC発表の中国製造業景況指数の5月速報値は49.6となっていただけに意外な結果でした。ちなみに事前の市場平均予想は景況感の境目となる50を割り込む49.8でした。HSBCの製造業景況指数は中小型の輸出企業の割合が多く、中国公式製造業景況指数は大型国営企業の割合が高いことから、輸出状況は軟調であるものの、中国を代表する大手企業の業績はそれほど悪くなっていない(少しずつ改善している)ことを示唆する結果となりました。

一方で先週のハンセン指数は大きく下落しました。前述の5月の中国公式製造業景況指数悪化懸念や日本株下落の影響を受けたことに加え、米国の金融緩和が早期に縮小するのではないかとの懸念から米国債の利回りが上昇したため、特に配当利回りが高い電力などの公益株が売られました(公益株から債券投資にシフトする動きがでるのではないかとの懸念のため)。今週のハンセン指数は米国が軟調に推移している上、円相場が円高に振れており、日本株の下落も予想されるところで、もう一段の調整となる可能性があります。ただ、先週も指摘しましたが、ハンセン指数はまもなく4月の相場下落時も下値支持線となった200日移動平均線に達しようとしており、200日移動平均線まで下がったところは、買いのチャンスとなる可能性もあると思います。

コラム執筆:戸松信博