米マイクロソフト[MSFT]が10月24日に発表した2024会計年度第1四半期(2023年7-9月期)の決算は、売上高が前年同期比13%増の565億1700万ドル(約8兆4700億円)となり、4四半期ぶりに2桁増収を達成した

AI(人工知能)への関心の高まりを背景に、クラウドサービスへの需要増がけん引し、増収ペースが加速した。純利益は同27%増の222億9100万ドル(約3兆3400億円)で、3四半期連続で増益を確保した。

 

 インテリジェント・クラウド19%増収

売上高を事業部門別に見ると、全体の4割強を占める主力「インテリジェント・クラウド」部門は同19%増の242億5900万ドル(約3兆6400億円)で、クラウド基盤「Azure(アジュール)」の売上高は同29%増だった。

米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、Azureの伸び率は前年同期の水準を下回ったものの、アナリスト予想を上回った。AIサービスへの需要増で、前四半期から3ポイント伸びた。

「Office」や「Dynamics」など、売上高全体の3割強を占める「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門の売上高は、同13%増の185億9200万ドル(約2兆7900億円)だった。企業向けの業務ソフトをまとめた「Office 365 Commercial」は18%の増収だった。

デバイス事業は22%減収

パソコン基本ソフト(OS)の「Windows」などを含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門の売上高は、同3%増の136億6600万ドル(約2兆500億円)。パソコンメーカー向けWindowsの売上高は同4%増加したものの、タブレット端末「Surface(サーフェス)」などのデバイス事業の売上高は22%減少した。一方、ビデオゲーム事業の売上高は同13%増加した。検索およびニュース広告は同10%増加した。

 

1株利益は2.99ドルと市場予測を上回った。マイクロソフトの株価は10月24日の時間外取引で一時終値から4%上昇した。

マイクロソフトはOSや業務ソフト群などで利用可能なAI支援機能「Copilot(コパイロット)」を提供し、収益化につなげる戦略を打ち出している。同社のサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は声明で、「私たちは、人々やビジネスのあらゆる場面でAIの時代を実現する。顧客の生産性向上を促進するために、あらゆる役割やビジネスプロセスにAIを迅速に組み込んでいく」と述べた。

マイクロソフトは2023年10月13日、米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードの買収を完了した。750億ドル(約11兆2400億円)に上るこの買収取引の効果が出るのは2023年10-12月期以降だとみられている。ウォール・ストリート・ジャーナルは、これによりマイクロソフトの全事業に占めるゲーム事業の比率は約10%になると報じている。

一方、米調査会社のIDCによると、2023年におけるパソコンの世界出荷台数は2億5200万台にとどまり、前年比13.7%減少する見通しだ。要因は、消費者市場においてパソコンがスマホやゲーム機、タブレット端末などの小型機器と競合関係にあることだという。パソコン市場は、経済的な逆風に直面しており、消費者需要は依然として弱いままだと同社は指摘する。

※1ドル=149.87円で換算