週明けの米ドル/円相場は円高傾向へ

週明けの東京株式市場が始まる前、米ドル/円相場が急速に円高に動く局面がありました。9月9日付けの読売新聞で単独インタビューとして、植田日銀総裁から「マイナス金利政策」の解除が選択肢にある旨の発言が出てきたことを報じたことで、日米金利差が縮小するとの思惑から円買い・米ドル売りが進みました。市場参加者が少ない時間帯であったため、一瞬の反応で一旦はおさまりましたが、日中は円高にジリジリと展開していきました。

米ドル/円は水準的に、いつ円高方向に振れても不思議ではありません。今回の反応で、当面は円安方向には行きづらくなるかもしれません。

振り返る2023年の相場リズム、そこから考える次なる動向

2023年の相場のリズムは、1月16日安値127.21円~3月8日高値137.91円まで10.70円の円安が進み、3月8日高値~3月24日安値129.63円まで8.28円の円高調整が入りました。

次は、3月24日安値~6月30日高値145.07円まで15.44円の円安が進み、6月30日高値~7月14日安値137.23円まで7.85円の円高調整が入りました。

そして、7月14日安値~最近高値をつけた9月7日高値147.87円まで10.64円の円安が進んでいます。要するに、2023年の円安波動は安値から「上げ1波→下げ2波→上げ3波→下げ4波→上げ5波」の5波をすでに示現しています。

概ね、上げ5波の上昇は、上げ1波や上げ3波よりもモメンタムが減速しやすい点が挙げられます。また、2023年は上げ1波の高値137.91円と下げ4波の安値137.23円が、ほぼ同じ水準になる「S波動」というパターンになっています。

この「S波動」は、上げ1波と上げ5波の値幅が同じになることも多いとされています。つまり、上げ1波では10.7円の円安が進みましたので、それを下げ4波の安値137.23円に足し算すると、147.93円になります。さて、9月7日高値147.87円をどう判断したら良いでしょうか?

考えてみると、2022年10月高値151.94円までの上昇は、2021年1月安値102.57円からほぼ1本調子で円安が進みました。1本調子というのは言い過ぎかもしれませんが、大した調整を挟まずに、という意味です。

しかし、2022年10月高値から2023年1月安値までは24.73円の円高が生じました。これは大きな調整です。このような大きな調整が生じると、直後の戻りで一気に2022年10月高値を更新する動きはイメージしづらいかもしれません。

むしろ、相場のよくある動きとしては、当面の保ち合い相場を形成した後に高値更新が実現すると考える方が、無理がないような気がします。

9月11日17時執筆