2023年前半の振り返り。60ヶ月移動平均線から考察する対照的な動き

2022年12月27日のコラム「銀行株 VS 電機株、2023年の見通し」の中で、バリュー・グロース株としても対極的にある、銀行株と電機株の2022年の動きを比較し、今後の見通しを述べました。

2022年は銀行株がよく上昇し、電機株が大きく売られました。しかし、月足で銀行株指数をみると、長期の60ヶ月移動平均線が依然として下向き基調にあり、長期目線では下降トレンドが続いているという見方ができます。

一方、電機株指数の60ヶ月移動平均線は上向き基調にあり、上昇トレンドが継続しているものの、2022年の株価は60ヶ月移動平均線に向けて下落しました。

このような両者の対照的な動きを、2023年前半の相場を読む上で、どのように考えるか?ということだったのですが、半年が経過したので、2023年前半を振り返ってみましょう。

2023年後半はバリュー株の出遅れ物色となるか

電機株指数は2022年とは逆に60ヶ月移動平均線からどんどん上方向に離れていき、6月末現在で、東証33業種の中では第4位で33%程度の上昇となりました。銀行株指数は13%程度の上昇で第18位でした。しかし、60ヶ月移動平均線は下向きだったのが横ばいになり、そして上向きに変わってきた点が大きな変化として挙げられます。

それを踏まえた上で、2023年後半はどのような展開が予想されるかを考えると、今度は60ヶ月移動平均線の上向き基調を保った(テクニカル指標の好調を維持した)中で上昇した電気株指数に過熱感が生じています。相場の不思議な現象なのですが、そのようなタイミングで半導体関連の変調が出てきました。

その一方、前半で相対的に相場全体についていけなかった銀行株指数が60ヶ月移動平均線の上向きへの変化(テクニカル指標の好転)を追い風にして上がっていく、そのような局面に入る可能性が大きいでしょう。

長期波動でみると、銀行株とよく似た動きをしているのが鉄鋼株指数です。週明けの鉄鋼株の騰勢が断続的に当面生じるならば、なおさら銀行株指数の援軍になるでしょう。つまり、2023年後半はバリュー株の出遅れ物色となるかもしれません。