東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は続落となりました。153円安の32,336円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで409円安の32,080円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ幅を縮めると後場寄り直後には28円安の32,462円まで持ち直しました。しかし、戻し切れないと下げ幅を広げ結局186円安の32,304円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に上昇となりましたが、新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

ニデック(6594)が一時10.4%高となり年初来高値を更新しました。電気自動車(EV)の基幹装置の新モデルへの切り替えが奏功し、車載事業が110億円の黒字に転換したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で34.7%増となり、市場予想を大きく上回ったことから大幅高となりました。そーせいグループ(4565)も一時17.2%高となりました。スイスの上場企業のイドルシア・ファーマシューティカルズから日本と韓国などの事業を約650億円で買収し、脳血管の収縮を防ぐ薬や不眠症の治療薬の開発や販売の権利を取得すると発表したことで業績の拡大を期待した買いが入りました。ドラッグストアのGenky DrugStores(9267)も一時14.6%高となり年初来高値を更新しました。既存店の売り上げが想定以上に伸びたうえ、食品廃棄の抑制などのコストコントロールにより販管費が減少したことなどで2023年6月期の業績予想を上方修正したことから買いを集めました。また、投資判断と目標株価の引き上げを受けて買われたのが関西ペイント(4613)やパナソニック ホールディングス(6752)で、関西ペイントが一時3.2%高、パナソニック ホールディングスも一時3.1%高となりました。

一方で台湾の半導体受託生産最大手のTSMC(TSMC)が今期の売上高を下方修正したことで半導体関連株が安く、東京エレクトロン(8035)が一時5.9%安、レーザーテック(6920)が一時4.8%安、アドバンテスト(6857)が一時6.1%安、SCREENホールディングス(7735)も一時5.1%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は186円安となりました。米国市場でのハイテク株安を受けて売りが優勢となりました。朝方には一時400円以上下げましたが、節目の32,000円を前に下げ渋ると昨日の終値近辺まで持ち直す場面もありました。そのため押し目買い意欲は依然として健在だといえそうです。しかし、節目の32,500円を前に上値が押さえられると引けにかけて再び下げ幅を広げたことから32,500円近辺での上値の重さが意識されそうです。なお、来週は重要イベントが目白押しです。米国では決算発表が佳境を迎え、マイクロソフト[MSFT]やグーグルの持ち株会社であるアルファベット[GOOGL]、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ[META]、インテル[INTC]などが決算を発表する予定です。また、日本でも徐々に決算発表が本格化し、週の後半には信越化学工業(4063)やコマツ(6301)、日立(6501)、ファナック(6954)などが決算発表を予定しています。さらに来週は「中銀ウィーク」で日米欧で中央銀行の政策会合が相次ぐ予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)