◆小学2年生の娘が、待ちに待った日がやってきた。夏休みかって?いや、それはいくらなんでも、ちょっと早い。今日は『妖怪ウォッチ2』の発売日なのだ。え?妖怪ウォッチをご存じない?それでは小学生のお子さんかお孫さんをお持ちの方に聞いてみてください。きっと、ご存じだろうから詳しく教えてくれますよ。妖怪ウォッチはそれほど、いま子供たちの間で大人気の...と、ここまで書いて、はたと筆が止まってしまった。

◆大人気の何と言えばいいだろう。『妖怪ウォッチ2』は昨年大人気を博した任天堂3DS向けのゲームソフトの続編。だから、妖怪ウォッチとは人気のゲームソフトと言ってもよいがそれだけではない。テレビアニメは高視聴率、雑誌でマンガも連載され、メダルなど玩具を求めて親御さんたちが長蛇の列を作る。妖怪ウォッチ現象ともいうべきブームが起きている。妖怪ウォッチとは一種の「プロジェクト」である。

◆「妖怪ウォッチとは」を一言で言えない - それがヒットの背景だ。ゲームだけを売るのではない。「クロスメディア」展開が鍵である。はっきり言ってゲーム業界というのは博奕に近い。出してみたらたまたま当たった、というような「一発ヒット」が実に多いのだ。ところが妖怪ウォッチに関する限り、ヒットするべくしてヒットした作品ということができるだろう。手掛けたのは福岡に本社を置くレベルファイブという企業。これまでも「レイトン博士」「イナズマイレブン」などを同様の「クロスメディア」でヒットさせてきた実績を持つ。彼らの手法は再現性が高い。

◆夏休みにはまだ早いと書いたけど、気が付けば夏の扉はもうすぐそこ。子供たちには、DSもアニメも放り出して、真夏の太陽の下で思いっきり駆け回ってほしい。それが親の本音である。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆