日本の景気は持ち直している
日本銀行は本日の政策委員会・金融政策決定会合において、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と呼ばれる現在の金融政策運営を維持しました。また、「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」とこれまでのスタンスを維持しています。
会合後「当面の金融政策運営について」がリリースされますが、決定事項に変更点はありません。景気の現状や見通しの説明においてこれまで横ばいとしていた公共投資が緩やかに増加、とされましたがその他変更点は無く、我が国の景気は持ち直している、との見解です。
直後の市場は円安、金利低下で反応しています。市場では概ね変更なしが予想されていましたが、イールドカーブコントロール含め非伝統的な政策手段について、一部で何らかの微修正を期待した投資家の思惑が剥落した動きが出ているのでしょう。
政策変更にはある程度のサプライズはやむを得ない
その後の会見において、質疑では物価上昇や円安などを受けた政策修正の余地を探るものが多く見られましたが、今後の政策変更について、特にイールドカーブコントロールの修正についてヒントは与えられませんでした。なお、市場との対話を重視することを強調しつつも、政策変更にはある程度のサプライズはやむを得ないとの発言もあり、市場での思惑も続きそうです。
大局観は当面金融緩和によって景気を下支えするスタンス
サプライズ志向があった黒田前総裁時とは異なり、金融政策決定会合がこれまでの発言に沿った政策運営かを確認する場になってきています。今後もテクニカルな調整など政策変更は有り得ますし、そのことが一時的な相場変動をおこすとは思われますが、大局観として他先進国とは異なり当面金融緩和によって景気を下支えするスタンスが続きそうです。
次回(7月28日)は展望レポートが出されますが、サプライズの無い運営、市場とのコミュニケーションのツールとして重要です。見通しの変化がデータとして示されれば政策変更の理由付けになるでしょうし、特に不確実性が極めて高いと会見でも言及した物価の見方が注目されます。