東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅に3日続伸となりました。234円高の32,668円で寄り付いた日経平均は9時20分前に365円高の32,799円高まで上昇した後一旦伸び悩みましたが、10時過ぎから上げ幅を広げると後場に入って13時には693円高の33,127円まで上昇し高値を付けました。その後、日経平均は上げ幅を縮めました。しかし、大きく押すことなく節目の33,000円近辺で堅調に推移すると結局584円高の33,018円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となり昨日に続いて年初来高値を更新しています。

2.個別銘柄等

トヨタ(7203)が一時5.5%高となり年初来高値を更新しました。トヨタが2027年にも電気自動車(EV)市場の勢力図を塗り替える可能性がある次世代電池の「全固体電池」を搭載したEVを投入すると明らかにしたことから大幅高となりました。セイノーホールディングス(9076)も24.3%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の11.2%にあたる2100万株、300億円を上限とする自社株買いを発表したことで買いを集めました。また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%を超す上昇となったことで半導体関連株が高く、アドバンテスト(6857)が一時5.9%高、SCREENホールディングス(7735)が一時4.9%高、ディスコ(6146)が一時5.6%高となり揃って上場来高値を更新したほか、東京エレクトロン(8035)が一時5.1%高、レーザーテック(6920)も一時6.9%高となりました。

さらに投資判断や目標株価の引き上げを受けて年初来高値を更新したのが豊田合成(7282)や住友不動産(8830)で、豊田合成が目標株価の引き上げを受けて一時5.3%高となり、住友不動産も投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時4.0%高となりました。一方でタマホーム(1419)が5.3%安となりました。注文住宅事業が大きく減ったことなどで5月の受注が前年同月比で10%減となったことから大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は584円高となりました。ニューヨーク連銀が公表した5月の消費者調査で1年先の期待インフレ率が2021年5月以来の低水準となり米連邦準備理事会(FRB)が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が強まったことで昨日の米国市場が続伸となったことから買いが優勢となりました。また、指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン、ソフトバンクグループ(9984)、アドバンテストなどが大幅高となったこともあり上げ幅を広げ節目の33,000円をおよそ33年ぶりに回復し、6日に付けたバブル崩壊後の高値(32,506円)を大きく上回って取引を終えています。そのため先高期待が一段と高まりますが、短期的な過熱感が意識され利益確定の売りが出やすく、FOMCの結果発表を日本時間の15日午前3時30分に控え様子見となりやすいなかで明日も堅調さを維持できるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の本日21時30分には5月の米消費者物価指数(CPI)が発表となる予定です。前年同月比では伸びが鈍化するとみられていますが、その結果次第では利上げ見送りとみられているFOMCの見通しの変更に迫られる可能性もあることから注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)