日経平均、心理的節目の32,000円も視野に。米中の主要経済指標に注目

週明けの日経平均は直近の高値(31,086円)を更新し、一時は31,500円台に乗せる場面がありました。先週の微調整によって上値を試しやすくなっている可能性が高く、心理的節目である32,000円なども視野に入ってきました。東証プライム市場の騰落レシオ(25日)は5月26日現在で104.3%と直近ピークだった5月16日(148.9%)から大幅に沈静化しており、半導体関連以外にも物色の広がりがみられるかが目先の焦点となります。

今週は米中の主要経済指標の結果が景気敏感株への追い風になるかどうかに注目です。為替市場の円安・米ドル高は指数上昇に寄与する一方、円高・米ドル安方向に巻き戻しが生じれば指数の上値を抑える要因となります。

プライム市場、グロース市場の今後の動き。業種では「サービス」「精密機器」が物色優位か

図表は、2022年4月から算出・公表されたプライム市場指数とグロース市場指数の足元までの推移です。

【図表】プライム市場指数とグロース市場指数
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

プライム市場指数は2022年6月安値以降、4度の上昇局面(赤の矢印)が確認できます。それぞれの上昇局面でけん引した業種は異なりますが、概ね安値から2ヶ月間上昇した後は調整を強いられる展開が続きました。直近では3月20日安値から5月22日高値まで概ね2ヶ月が経過しており、当面の調整局面入りも予想されます。

しかし、今回も同じパターンが続くと考えるのは時期尚早です。相場に大きな転換点が到来している場合、それまでの値幅や日柄のリズムは崩れることが珍しくないからです。

仮に、2月以降で調整が続くグロース市場指数の保ち合い相場が明確に上放れる場合、プライム市場指数に追い風になる可能性が高く、2ヶ月上昇のリズムが崩れ、上昇幅や上昇期間の延長に繋がる公算が大きいでしょう。

その際、プライム市場で物色優位が予想されるのは、「サービス」、「精密機器」ではないでしょうか。グロース市場指数に強い上昇がみられた2022年6月安値からの上昇時にプライム市場で上昇をけん引した業種です。

「サービス」、「精密機器」は東証33業種の中でもグロースに位置付けられる業種で、グロース市場指数に連動性を強める展開が予想されます。この2業種は、2022年6月安値から足元までの長い上昇局面でTOPIX(東証株価指数)にアンダーパフォームしており、相対的に見直し買いが入りやすいことが考えられます。

一方、リスクはグロース市場指数の保ち合い相場が明確に下放れた場合です。先週後半の両指数の動きをみる限り、グロースが軟調でもプライムは少し違う強さがある、といった雰囲気を感じることもできましたが、今週もグロースの一段安が続く場合、さすがにプライムでも悪い影響を受けることになるでしょう。

(5月28日に執筆時点)