日経平均、ついに2022年8月17日の高値を突破

5月の大型連休の間、米国市場の値動きに注目が集まりましたが、東京市場は引きずられることなく株価水準を切り上げ、ついに2022年8月17日の高値を終値で上回って終える結果となりました。

今回の日経平均株価の上昇をサポートしたのが、5日移動平均線です。5日移動平均線が上向きを続ける中、5月2日に高値で陰線が発生した後、翌営業日となる5月8日に下落する場面がありましたが、上向きの5日移動平均線で下げ止まると、翌5月9日には大きく反発して、2022年8月17日の高値を上回って終える結果となりました。

このように上向きの5日移動平均線上を維持した場合、上昇トレンドが継続していることになるため、モメンタムが低下して逆行現象が発生していても、直ぐに下落すると判断する局面ではないことが分かります。

そのため、前回のコラムでは「5日移動平均線を割り込むような下落が発生するとともに5日移動平均線が下向きに変化するようですと、大きなレンジの上限を割り込んで25日移動平均線辺りまで下落したり、25日移動平均線を割り込んだりすることも考えられるため、高値掴みは避けるとともに、利益確定のタイミングを逃さないようにする必要がある」と、解説したわけです。

では、株価が上昇しているにも関わらず、モメンタムが上昇しないのはなぜなのでしょうか?

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

モメンタムが低水準を続ける意味とは?

前回のコラムで解説した計算式を思い出してみてください。

・計算式:モメンタム=当日の終値-n日前の株価

計算式はこのようになりますが、ここで算出された値は何を示していることになるのでしょうか。この値(=モメンタム)はn日前の株価と当日の株価の差分を示していますが、例えば、株価が当日の株価が1,000円で、n日前の株価が900円だったとします。そうすると差額100円になります。この100円がモメンタム100になります。

続いて、翌営業日の株価が1,050円で、n日前の株価が970円だったとします。すると、差額は80円で、モメンタムは80になります。このパターンでは、株価水準は切り上がっているにも関わらず、モメンタムは前日の100に対して80と小さくなっており、株価水準は切り上げっているにも関わらず、モメンタムが低下していることを示していることになります。

さらに別のパターンで考えてみましょう。当日の値が1,000円で、n日前の値が900円だったとします。差額は同じく100円で、モメンタムは100になります。続いて、翌営業日の株価が990円で、n日前の株価が850円だったとします。差額は140円でモメンタムは140となり、株価がきり下がっているにもかかわらず、モメンタムは100から140に上昇していることになります。

このように株価水準が切り下がっても差額となる値が大きくなる場合は、モメンタムが上昇していることになり、上昇の勢いが強い状態が続いていると考えられます。これはモメンタムが差額の大きさを「勢い」として考えているためです。

そのため、モメンタムが低水準で上昇しないケースでは、株価水準は切り上がっているように見えて、n日前と当日の株価の差額が広がっていないことを示すと同時にn日前との価格差が小さいために、差額分以上の値幅の下落が発生すると、モメンタムがマイナスに転じてしまい、一気に下落の勢いが強まる可能性があることを示唆していることになるのです。

モメンタムと株価の逆行現象が発生している時は、とても注意が必要です。次回はモメンタムの水準について詳しく解説したいと思いますので、日経平均株価のモメンタムの水準のチェックをお忘れなく。