先週の上海総合指数と深セン総合指数は好ニュースが続き反発となりました。先週指摘したように中国では2月10日から旧正月の大型連休に入ります。旧正月前は売り需要が発生し、相場は下がりやすいというアノマリーがあるのですが、今年は旧正月前も強い相場が続いています。まさに押し目待ちに押し目なしといった状態。先週の材料としては、まず、中国の証券取引所が信用取引の規制緩和を発表しました。具体的には信用取引・空売りの原証券の数を上海証券取引所で180から300、深センで98から200へとそれぞれ増加するという内容です。これを受け、週初は証券株を中心に金融株主導で大きく反発しました。さらに29日には証券当局が台湾の団体のQFII(適格海外機関投資家)による最大1000億元規模の投資を検討していることが明らかに。これを受けて週中盤は流動性拡大期待が強まり、続伸しました。
さらに週終盤にはHSBCが発表した1月のPMI確報値が52.3となり、1月の速報値である51.9、12月の確報値である51.5を共に上回りました。一方、中国物流購買連合会(CFLP)が国家統計局とともに発表する1月の公式PMIは50.4となり、アナリスト予想である51.0や12月50.6を共に下回りましたが、この低下は旧正月に絡む季節的な要因の影響の可能性もあるとしてあまり材料視されませんでした。いずれにせよ、HSBCのPMI発表後、中国経済は堅調に回復しているとの判断が拡がり、上海総合指数は週末に大きく上昇しています。
一方、香港ハンセン指数は小幅高。上海総合指数が強い推移となったことや、米国株が強い基調で推移したことに追随しました。ただ、中国の銀行最大手、中国工商銀行(01398)の株式をゴールドマン・サックスが一部売却したことや、中国海洋石油(00883)が2013年の生産量見通しについて控えめな数字を発表した上、設備投資の大幅増を発表したことなどが材料視され、上海総合指数ほどの上昇とはなりませんでした。
コラム執筆:戸松信博