一時は金融不安から先行不透明感が台頭した株式市場ですが、当局の迅速な対応もあり、その不安の抑え込みにはまず成功したように見えます。

日本の株式市場でも、金融不安顕在化で悪材料が一旦出尽くしとなったところに、脱コロナで活動水準も旧に復すという追い風も吹いてきました。人が動けば経済も動きます。インバウンドの急増も加わり、当面の株式市場に対してはやや楽観的に捉えて良いのではと受け止めています。

コロナ自粛を経て、いよいよ期待高まるリベンジ消費

さて、今回はその人の動きに注目し、「旅行・レジャー」をテーマに採り上げてみたいと思います。

過ごし易い気候になる中、ようやくと言うべきか、遂にコロナ禍対応がほぼ一巡し、マスク着用制限のない日常が戻ってきました。先日は例年よりも一足早い桜の開花がありましたが、花見客が賑わう風景にも久しぶりに遭遇しました。

これまでもコロナ自粛下でのリベンジ消費は何度か注目されてきましたが、今回は本当の意味でのリベンジ消費が期待できるのかもしれません。そういった観点から、2023年のゴールデンウイークの旅行・レジャーはその先行きを示唆するものになると位置付けます。

実際、皆様の中にも2023年は3年ぶりにどこかに出かけようかと計画されている方もたくさんおられるのではないでしょうか。ゴールデンウイークのお出かけが起点となり、蓋を開けてみると、株式市場でも旅行・レジャー関連株への注目度が高まってくるという可能性は小さくないと考えています。

旅行関連株では旅行会社、鉄道、ホテルセクターに注目

では、どのような旅行・レジャー関連銘柄が注目されそうでしょうか。旅行関連では、海外旅行も復活してくるでしょうが、航空運賃の上昇や円安を考えるとやはり国内旅行が牽引役になるのではないかと想像します。

全国の観光地ではコロナ禍の間、厳しい経営が迫られていました。そのため、かつての日常が戻ってくる中、ここぞとばかりに集客キャンペーンを打ち始める企業があっても不思議ではないでしょう。消費者にとっても、国内旅行であれば費用も(海外旅行に比べて)抑制できるため、何度か出かけようというケースも出てくるはずです。結果的に、ゴールデンウイークに留まらず、息の長い「静かなブーム」になっていくのではと予想します。

株式投資という観点では、旅行会社や鉄道、ホテルといったセクターが要注目となるでしょう。旅行会社は国内に限らず海外旅行需要も取り込みが可能なうえ、ホテルではインバウンド需要の取り込みという追い風も吹く公算が大きいと考えます。

ちなみに、旅行会社においては、エイチ・アイ・エス(9603)や日本旅行(西日本旅客鉄道(9021)の連結子会社)、リクルートホールディングス(6098)、近畿日本ツーリスト(KNT-CTホールディングス(9726)傘下)、などが旅行取扱額のランキング上位企業群であり、ホテルではリゾートトラスト(4681)、西武ホールディングス(9024)、共立メンテナンス(9616)などが売上上位の上場企業となります。また、帝国ホテル(9708)や星野リゾート・リート投資法人(3287)などは高級ホテルとして有名です。鉄道関連では、やはり新幹線を有するJR各社に注目したいところでしょう。

「コト消費」がカギを握るレジャー関連株、スポーツ観戦にも熱視線

レジャーでは、お手軽な「コト消費」関連がカギを握るのではと考えます。旅行までは面倒という方は、その代替案として日帰りでどこかに遊びに行こうかとなるのではないでしょうか。テーマパークや遊園地はまさにその代表例となるはずです。

しかし、それ以上に私が注目しているのはスポーツ観戦です。2022年に開催されたサッカーのFIFAワールドカップカタール2022、3月末に日本が優勝した野球のワールドベースボールクラシック(WBC)では日本代表の躍動する姿に魅了されました。その興奮冷めやらぬ方のみならず、そこでスポーツの面白さにハマった方も、2023年はスポーツ中継に関心を寄せるのではないでしょうか。そして、機会があれば、まさに「コト消費」として実際に観戦に出かけてみようと思うはずです。

この秋にはラグビーワールドカップ2023も開催されます。前回の日本大会では日本代表の健闘がブームにもなりました。今回も同じような旋風が吹くのではと期待が高まります。改めて、スポーツ観戦の楽しさや醍醐味を感じることでしょう。やや変化球とはなりますが、こういった切り口でレジャー関連株を探してみるのはいかがでしょうか。

スポーツ観戦に関連する銘柄群としては、プロ、社会人であればそのスポーツチームのスポンサーを挙げることができます。伝統的に担っていた広告効果に加え、スポーツチーム自体がマネタイズする体制を確立すれば、スポンサー企業の享受するメリットも拡大するはずです。

また実際に出かけないまでも、自宅で観戦するケースも増えると考えます。その際には試合の放映、配信を手掛ける企業などの注目度が高まってくるのではないでしょうか。

実際、FIFAワールドカップカタール2022では通常の地上波放送に加え、インターネット配信でも無料で試合中継がなされ、テレビ観戦のあり方に一石を投じることとなりました。また、インターネット配信中継ではリアルタイムの視聴に加え、オンデマンドで見ることもできたうえ、コメント書き込みが可能というインターネットならではの試みも多くの視聴者獲得に繋がりました。

今後はこういった新しい観戦スタイルに適合したサービスもまた、レジャー関連銘柄の一環として認知されてくるのではないかと思います。