断捨離に始まり、ミニマリスト、シェア経済・・・モノを減らし、持たない生活をすることがここ何年か注目を集めています。所有することを極力減らそうということで、日本の限られた住空間にもマッチする考え方として根強く支持されています。
また、北欧デンマークの「ヒュッゲ」というライフスタイルが欧米でブームとなり、日本にも上陸しています。ヒュッゲというのは「居心地の良い時間や空間」という意味で、家の中で快適に過ごすことです。
モノをたくさん持つことではなく、居心地よくリラックスして家の中で過ごす・・・そういった生活を支持する人が増えているということでしょう。

それとは反対に、以前はオタク文化と言われ隠れていたようなマニアックなコレクターの人達も、今は市民権を得てきています。どれだけコレクションを増やすか=所有することに熱中し、そうした趣味の集まりも盛んに行われているようです。
今年の流行語にもなった「インスタ映え」。もちろんヒュッゲにあるような家の中の「素敵」をインスタグラムに挙げる人も多い一方で、様々な体験を「見せる」ことを楽しむ人たちも多いのです。
いつの時代も色々なタイプの人はいて当たり前ですが、これだけ両極端な方向が同時にもてはやされるのも珍しいのではないでしょうか。

バブル期には、「誰も」がモノを欲しがり、所有したがり、体験したがっていて、身の丈を超えたモノにも背伸びをするという傾向があり、お金の空回りが生まれていたのかもしれません。(現在もインスタ映えのために借金をして・・・という人もいるようですが、多数派ではないと思われます。)

最近の株価の高さはバブル期の数字を引き合いに語られることも多いですが、多くの人がより地に足をついたライフスタイルを求めるようになり、生活感覚的にも特に「景気が良い」とは感じていない人が多いのでしょう。
景気を見る上では今一つ盛り上がりが来ていない印象となりますが、この傾向はライフプランを考える上では、けっして悪いことではなく、「地に足をついた」生活は大いに役立ちます。収入を超えた支出を当たり前としてしまう、ボーナスで帳尻を合わせてしまう、という生活をしていると、当然のことながら貯蓄や投資に回すお金はなくなります。結果として「本当にしたいこと」「本当に欲しいモノ」に手が届かなくなってしまうことにも。それどころか、老後に困窮するという最悪な状況にもなりかねません。

お金のためにあらゆる「楽しみ」を排除した節約生活漬けは、本人が楽しんでいる場合以外奨励しませんが、身の丈にあったライフスタイルを楽しみつつ、将来に向けて余裕を持てるようにコントロールできると良いのではないでしょうか。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員