前回に続いて、マネックス証券の「信託・相続支援センター」に寄せられた相続、認知症対策、資産承継に関するご相談の中から、よくある内容をご紹介します。将来の資産承継や認知症対策などでお悩みや不安のある方にとって、参考になるケースもあるかもしれませんので、ぜひご覧ください。
Q:相続が複雑な場合どうしたらよい?
祖父母の相続が終わっておらず、私の存命の親には、兄弟が複数名います。その中で連絡が取れない人がいますが、不動産の相続をどうしたらよいですか。
回答
相続人の人数が多い場合や疎遠の方が含まれる場合などは、ご自身で手続きを行うのは大変かと思います。そのような場合、司法書士などに頼ってみてはいかがでしょうか。戸籍謄本の収集や親族への連絡なども代行してくれます。
Q:子の住宅購入時、親からの援助はどうするべきか
子どもが中古住宅を購入するにあたって資金援助をしたいと考えています。どのようなかたちを取るのが良いでしょうか。
回答
住宅取得資金贈与の特例の対象となるか業者に確認したほうがよいでしょう。相続税対策の一環として、親名義で部分購入するのも将来的にはよいのではないでしょうか。
Q:不動産で相続対策をするには?
不動産を活用した相続対策を考えています。運用を考えると、地方より都心部の方がよいですか。また、どのような勉強をしたらよいでしょうか。最近、家族信託という言葉を耳にしますが、受託者が家族だと任せやすいでしょうか。
回答
不動産を運用する観点では、地方より都心部の方がよいと思われます。例えば、東京の投資用マンションを調べて、利回りのシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。一棟買いするのはリスクが高いので、一部屋から始めてみるのもよいかと思います。
家族信託については、少しずつ広まっているように思います。家族は意思が通じやすいという意味では安心です。ただ、受託者として資産管理のリテラシーが必要となります。
Q:死後の手続きをスムーズにするために生前できることは?
私はいわゆる「おひとり様」ですが、兄弟の子どもと関係が良好ですので、自分が死んだ後の手続きをしてもらえると思っています。ただ、手間がかかる場合は、何かしら見返りを渡したいと考えています。金融資産は世の中のために役立ててほしいので寄付も検討していますが、どうしたらよいでしょうか。
回答
相続人以外に資産を渡したい場合や寄付など検討されているのであれば、遺言書を作成するとよいでしょう。手間をかけたくないのであれば、死後どのようなことをしてほしいかを委任しておく死後事務委任契約というものがあります。また、遺言信託を利用し、万一のことがあったら、士業の方に専門的な手続き支援を依頼できるようにしておく方法もあります。
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Q:土地を相続放棄する場合について
親が地方で多くの土地(山、農地など)を所有しています。境界線もはっきりせず、毎年税金だけかかっているだけの状態で、親の相続が発生した場合にどうなるか心配です。山林や農地は売却が難しいため、相続放棄も考えていますが、どのようにすれば良いでしょうか。
回答
相続放棄は資産ごとに選択することができず、すべての財産を放棄する必要があります。新しい制度で、相続した土地を国庫に帰属させることを可能にする「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月27日より開始されるので、検討してみるのもよいかと思います。
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Q: 離婚した前妻との子どもの相続権は?
私は一度、離婚したことがあり、前妻の子どもと連絡がつかない状況です。今後のために、遺言書を作成しようと思いますが、どのように書けばよいですか。仮に現在の妻との子どもに全部渡すと遺言書に記載した場合、遺言執行者を現在の妻の子どもにしておけば全て渡せますか。
回答
遺言書にはご自身のお気持ちを素直に書かれたほうが良いと思います。遺言書にすべての財産を現在の子どもに残すと書いておけば、一旦は渡せます。ただし、前妻の子どもから申し立てがあれば、遺留分は渡さないといけません。なお、遺言執行者はすべての相続人へ遺言の内容を通知する義務がありますので、前妻との子どもの所在を調査する必要もあります。
事前の対策が重要
誰しもいつか必ず起こる相続、ご家族が困らないようにするために事前の対策が重要です。
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