今回は2023年で廃止となるジュニアNISAについて解説します。

2024年からスタートする新しいNISAは、日本に住む18歳以上の人が対象となります。未成年者は利用できません。では、現在ジュニアNISAを利用している人は2024年以降どうなるのでしょうか。そのポイントをまとめました。

ジュニアNISAの仕組み

まずは、仕組みをおさらいします。2016年にスタートしたジュニアNISAですが、利用できるのは日本に住む、1月1日時点で18歳未満の未成年者です。購入できるのは一般NISA口座で購入できる商品と同じで、上場株式や株式投資信託、ETF(上場投信)、REIT(上場不動産投信)などがあります。

非課税で投資できる金額の上限は年間80万円、非課税期間は最長5年です。その間にジュニアNISA口座で購入した上場株式の配当金などには税金がかからず、売却した時の譲渡益も非課税になります。

ジュニアNISAで押さえておきたい6つのポイント

1.新規にジュニアNISAで投資ができるのは2023年まで

ジュニアNISAは2023年に廃止になります。そのため、新規に投資ができるのは2023年12月までとなります。2024年以降はジュニアNISA口座で新規の投資はできなくなります。

2.2024年以降はいつでも引き出し可能に

では、2024年以降はどうなるのでしょうか。まず、自由に引き出しができるようになります。これまでジュニアNISA口座で保有する商品については原則18歳まで払出しができませんでした(※1)。2024年以降は「いつでも」「災害などの理由を問わず」保有している株式・投資信託などを非課税で払い出すことができます。

ただし、引き出す場合は、ジュニアNISA口座で保有している商品はすべて払い出し、口座を廃止する必要があります。そのため、一部の金融商品だけを売却して引き出したり、その都度株式の配当を受け取ったりすることはできません。

例えば、配当金などは従来どおり、(ジュニアNISA口座内の)課税ジュニアNISA口座に入り、口座を廃止するまで引き出すことはできません。

3.成人になるまで非課税で運用も可能

2023年までにジュニアNISA口座で投資した金融商品については、そのまま成人(1月1日時点で18歳)になるまで非課税で運用し続けることもできます。すぐに使う必要がない場合にはそのまま成人になるまで非課税で運用し続けると良いでしょう。

4.ロールオーバーの手続きが不要に

ジュニアNISAの非課税期間は一般NISAと同様、5年です。そのため、成人になるまで非課税で運用を続けるには、5年の非課税期間終了時に新たなジュニアNISAの非課税枠(2024年以降はロールオーバー専用の継続管理勘定)に商品を移すロールオーバーの手続きを行う必要がありました。この手続きを忘れると、ジュニアNISA口座内の課税口座に時価で払い出されてしまう心配があったわけです。

今回の改正で、非課税期間終了時のロールオーバーの手続きが不要となり、自動的に非課税枠である継続管理勘定に商品は移管される予定です。

金融庁のWEBサイト(※2)の「新しいNISA」ページでよくある質問例に「ジュニアNISAで保有している商品は、2024年以降、どのように取り扱われるのか?」という問いが掲載されています。

それに対して「現行のジュニアNISAで投資した商品については、非課税期間(5年)終了後、自動的に継続管理勘定に移管され、18歳になるまで非課税で保有することが可能です」という回答が記載されています。これで成人になるまで安心して非課税で運用し続けることができます。

5.成人向けのNISAには移管できなくなる予定

その一方、残念な変更点もあります。元々ジュニアNISA口座で成人になるまで運用を続けると、成人のNISA口座が自動的に開設され、ジュニアNISA口座で保有する商品を一般NISA口座にロールオーバーできる予定でした。

しかし、一般NISA口座の新規投資は2023年で終了するため、ジュニアNISAで運用していた商品を持っていく先(一般NISA)がなくなってしまいます。2024年から始まる新しいNISAは2023年までの一般NISA・つみたてNISAとは切り離されてスタートする予定です。

まだ正式には決まっていませんが、2024年からの新しいNISAにはジュニアNISAで運用してきた商品を移管できないと思われます。その場合、ジュニアNISAで運用してきた商品は成人の課税口座(特定口座)に移管するか、売却する。あるいは売却した資金で新しいNISAで新たに商品を買い付ける、といった選択肢があります。

6.海外留学や海外転勤をする予定がある場合は注意

ジュニアNISAは18歳以上向けの成人NISA(一般NISA、つみたてNISA)と異なり、海外出国時の5年非課税の適用対象外です(※3)。そのため、海外留学や親の転勤などで非居住者となると、ジュニアNISA口座内で保有する商品は、一般口座(課税口座)へ払い出されてしまいます。

特定口座を開設している場合には、出国前または帰国時に一定の手続きを行うことで、帰国時に特定口座に組み入れることができます。留学などで非居住者となる場合には口座を廃止し、引き出しておくといったことも含めて検討しましょう。

最後に、3月28日現在、法律がまだ整備されていないこともあり、WEB上では古い情報(例えば2階建ての新NISAやそれに対応したジュニアNISAのロールオーバーなど)が残っています。

ジュニアNISAだけでなく、新しいNISAについては情報が錯そうしていて迷うことも多いと思います。現状では金融庁の新しいNISAのWEBサイトを確認するのが確実です。4月以降、細かいことが決まった段階で、改めて確定情報をご確認ください。

(※1)2023年までは災害時などの例外を除き、3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までは払い出しは原則不可。引き出す場合は遡って課税。
(※2)金融庁のWEBサイト
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.htm
(※3)*2019年4月から海外転勤などにより一時的に出国する場合、金融機関に「継続適用届出書」を提出すると最長5年までNISA口座で商品保有が可能となっている。対応は金融機関により異なるため事前に確認を。