日米共に株価は堅調、日本ではバブル期以来の高値圏です。そろそろ警戒をして手持ちの金融資産を確認、利食い等整理を、と以前書きましたが、その後も上昇。市場の楽観の強さに驚くほどです。専門家がこぞって強気になってきており、それこそバブル期のようで少々不安を感じてしまいます。

バブル期との大きな違いは一般の人のお財布事情でしょうか。バブル期は金利も高め、日本経済も世界で強く、株式投資をしていない人も若い世代の人も、根拠なく未来に安心感を持ち、消費に励んでいたのかもしれません。終身雇用、豊かな企業年金、しっかりと上がる賃金上昇カーブ、大企業にさえ就職できれば、まず一生安泰・・・と信じていた人も多かったようです。
それに比べると現在はいざなぎ景気を超える景気拡大期と言われても、超低金利が続き、高齢化社会が進み、公的年金の不安とその負担を感じざるを得ず、若い世代がどうしても堅実になるのも頷けます。

今、このコラムを読んでいる方は、少なくとも投資を始めて、もしくは始めようとしていて、預貯金だけということはないはずです。それは大切な一歩を踏み出している人、あるいは踏み出そうとしている人と言えます。もちろん、その投資も自身でコントロールすることを学ばなければ、何かあった時にバブル崩壊時に泣いた多くの初心者投資家と同じ目に遭いかねません。当時泣いた人たちは、自身の資産状況を把握せず、勧められるまま商品を買い、リスク過多になっていたケースが多いでしょう。自分自身の投資スタイルもその先の将来設計もなく、とりあえず目の前のお金儲けに欲を出した結果とも言えます。

欲を持つことも、お金儲けも悪いことではありません。それどころか、そうした前向きな気持ちをもつこと、お金について勉強することはとても大切なことだ、とずっと言い続けている立場です。
お金がたくさんあること=幸せかといえば、そうは思いません。でも、幸せになるためにお金が必要になることは実際、多くあります。先日ドラマ「陸王」で、夢があるのに資金繰りに苦労している様子が描かれていました。夢や目標があるのに、お金がなくて実現に窮するというのは悔しいものですよね。

何もしなくても、明るく豊かな将来を約束されている世の中であれば構いませんが、そうでない場合、自分でそうした状況を作るよりほかありません。低金利、賃金上昇カーブが大きくない現在、節約を重ねて預貯金だけをしていてはなかなか安心できる状況にはならないでしょう。浮かれず、騒がず、着実に、勉強をしながら投資を続けることが、自身のライフプランを支える一番の安心材料になるはずです。
始めたばかりの投資が上手くいっていて喜んでいる方も、相場は色々あることを踏まえて、リスクを偏らせないよう備えておきましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員