コラムを書くにあたって、何か面白い記事等ないかと日頃からアンテナを張っています。新聞やテレビのニュースだけでなく、友人知人とのおしゃべりにもヒントがあることがあります。もちろんネット上もよくチェックします。
大手の新聞や雑誌に比べ、メディアを媒体にせずに発信しているケースも多いネット上には、かなり偏った意見も多いですね。
専門家と称する方々の書いたものでもおや?と感じるものをよく見かけます。読んでもらってなんぼ、という世界ですから、人目を引く過激な意見が多いのは仕方ないのかもしれません。でもそこにはコンプライアンス(法令遵守)は大丈夫か?と思われるものも。

他人の成功体験に興味を持つ人は多いものです。どうやってお金持ちになったのか、どうやって株式投資で(FX投資で、不動産投資で)成功したのか・・・等々。
参考にしたいという考え方を否定するつもりはありませんが、気をつけるべきことがあります。それはこうした成功例は時代や時勢、相場状況、タイミングが味方したからこそのものであって、それら地盤が異なる状況で同じことをしても成功どころか、大きな失敗につながることも十分にあるということです。投資であれば、手法やスタンスは各人の性格によるところも多く、真似をしても苦痛なだけの場合もあるでしょう。海外の著名人や富豪の考え方、生活習慣等も日本文化や慣習とそぐわない場合もありますよね。

失敗談を披露し、だからこれはダメだ!と力説したり、こうすれば立ち直れる!といったような体験談も多いですね。購入した不動産が短期で値下がりし、そこで売却せざるを得なかった経験から、不動産購入はよくないと断言しているものを見かけました。もし、地価高騰に乗じて高値で売り抜けていれば、不動産こそ一番効率のよい投資である、と言っていたのかもしれません。成功談も失敗談も紙一重、ということです。人はたとえそこに購入時期が書いてあったとしても、結果だけを見て参考にしようとしてしまいがちです。その説を唱える執筆者がそれらしき材料を掲げて、説得力のある文章を書いていたらなおさらですよね。

参考にするのであれば、偏った考え方に傾倒せず、反対の意見を掲げているものも公平に見聞きすることでしょう。他人の真似をするのではなく、自分にはどういう手法が向いているのか、何ができるのかを自分自身で考えること。それには世の中の状況や流れを把握し、ちゃんと基本を勉強することも必要になります。そう、結局は知識と経験を蓄積し、自己責任が取れることが大切なことなのではないでしょうか。誰それの真似をしていたら大成功した、という経験談は聞きませんものね。

マネーに関することのみならず、ファッションでもライフスタイルでも、自分自身を知ること、自分に合ったモノを見つけることができれば幸せだと思います。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員