【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 32,246.55 △371.98 (3/16)
NASDAQ: 11,717.28 △283.23 (3/16)
1.概況
米国市場はJPモルガン・チェース(JPM)など米銀11行が合計300億ドルの無保険預金を経営不安が続くファースト・リパブリック・バンク(FRC)に預け入れる支援策を発表したことで金融システム不安が和らぎ大幅高となりました。46ドル安でスタートしたダウ平均は、金融システム不安が高まっていることからECB理事会が利上げ幅を0.25%に縮小させるとの見方もあるなかで0.5%の大幅利上げを決めたことで朝方に303ドル安まで下落しました。しかし、ファースト・リパブリック・バンクを米銀が支援するとの観測が出て昼前にプラスに転じ上げ幅を広げると支援策の発表を受けて引けにかけて一段高となりました。結局ダウ平均は371ドル高の32,246ドルで取引を終え反発となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も283ポイント高の11,717ポイントと4日続伸となりました。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比2万件増の19万2000件となり市場予想以上に改善しました。2月の米住宅着工件数も年率換算で前月比9.8%増の145万件となり市場予想を上回りました。2月の米輸入物価指数も前月比0.1%低下に止まり市場予想を上回り、米輸出物価指数も前月比0.2%上昇し市場予想を上回っています。一方で3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス23.2と前月から上昇しましたが市場予想を下回りました。また、欧州中央銀行(ECB)理事会は政策金利の0.5%の大幅利上げを3会合連続で決めています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、情報技術とコミュニケーション・サービスが3%近く上昇したほか、金融と一般消費財・サービスも2%近く上げています。一方で生活必需品と不動産の2業種が下げています。
4.個別銘柄動向
最近の長期金利低下で相対的な割高感が薄れていたハイテク株が買われました。ダウ平均構成銘柄ではインテル(INTC)が投資判断の引き上げを受けて6%以上上げ上昇率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)も4%余り上げインテルに次ぐ上昇率となりました。ダウ平均構成銘柄以外でもハイテク株の上昇が目立ちグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)が4%を超える上昇となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も4%近く上げました。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も3%を上回る上昇となり、ネットフリックス(NFLX)とテスラ(TSLA)も2%余り上げています。半導体株も高くアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が7%以上上げ、エヌビディア(NVDA)も5%を超える上昇となりました。クアルコム(QCOM)とマイクロン・テクノロジー(MU)も4%以上上げています。また、金融システム不安が和らいだことで大手金融株も高く、JPモルガン・チェース(JPM)とモルガン・スタンレー(MS)、シティーグループ(C)が2%近く上げています。
5.為替・金利等
長期金利はファースト・リパブリック・バンクの支援策発表を受けて金融システム不安が和らいだことで相対的に安全資産とされる米国債に売りが出て0.13%高い3.58%となりました。ドル円は133円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は金融システム不安が和らぎ昨日の米国市場が大幅高となったことから上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が200日移動平均線(昨日時点で27,358円)を回復できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)