ハリケーンに大地震、いつミサイルを飛ばすかわからない狂った隣国・・・と世界を見渡しても自然災害、人災を問わず不安材料だらけです。
毎回不安を煽るようなコラムになってしまい、寂しい限りですが、FPとは比較的安定的な時期でさえ、いけいけドンドンになってはいけない、常に冷静にリスクに備える準備をしましょう、と推進すべき立場なのでご了承くださいませ。

生活を守るために防災グッズを揃えたり、万一の経済面の支えのために保険に加入したり、金融資産の相場の変動リスクに対しては、様々なヘッジをかけたり、資産の整理をしたりすることで備えになります。
こうした、いつ万一のことが起こるかもしれないというリスクの他に、私たちが気になるもう一つのリスク。それは上記のような不幸な災害に幸いにも遭わずに済む生涯であっても、だからこその心配事です。これは国民性にもよるものなのか、他国であればもっと楽観的な人も多いようですが、日本は長寿大国であるため、これだけ他国に比べれば公的な保険年金等が整備されていてもなお、国を信じられないと「長生きのリスク」を心配する人が多いのです。
20代から「老後資金」を貯蓄するのは日本人くらいかもしれません。少子高齢化、晩婚化、おひとり様・・・頼るものは、最後は自分しかないのだから、せめてお金だけは備えておこう、ということなのでしょう。もちろん、心がけは文句なく素晴らしく、長期マネープランはなかなかできる人はいないだけに実行できている人は本当に立派です。

ただ、FPとして、というより個人的にでもありますが、できることならそうしたプランにはなるべく柔軟性をもって向かい合ってもらいたいと思っています。特に20~30代であれば、がちがちに貯蓄優先にするのではなく、自己投資であったり、あえてリスクを取る投資に挑戦したり、色々と興味の幅を広げることで貯めたお金の使い道も広がってくるはずです。周囲を見回しても年齢に関係なく、人、仕事、趣味などの新しい出会いはあるものです。10年前に想像した通りの自分に、現在なっているという方は少ないのではないでしょうか?10年あれば、色々と変わってくるのです。
40~50代でも、それ以上でも同じだと思います。節約と我慢の連続で老後や他のリスクの心配ばかりするのではなく、「今」を生かすことも大切だと思いませんか?
ただし、「今」しか考えない刹那的な生き方は自身の首を絞めることになりかねませんから、そこはもちろんバランスをとるようにすべきですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員