東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて6日ぶりに大幅反落となりました。237円安の28,385円で寄り付いた日経平均は9時10分前に198円安の28,424円まで持ち直しましたが、28,400円を小幅に上回ったところで上値が押さえられると下げ幅を広げ10時10分過ぎに376円安の28,246円まで下落し351円安の28,271円で前場を終えました。312円安の28,310円でスタートした後場の日経平均は日銀が金融政策決定会合で現行の金融緩和政策の維持を決めたことから後場の取引開始から5分後に261円安の28,361円まで持ち直しました。しかし、その後再び下げ幅を広げると大引け5分前に504円安の28,118円まで下落し結局479円安の28,143円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

大日本印刷(7912)が一時9.8%高となり昨年来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の15.05%にあたる4000万株、1000億円を上限とした大規模な自社株買いを発表したことで買いを集めました。本決算を発表した積水ハウス(1928)も一時2.1%高となり1989年10月に付けた上場来高値を更新しました。海外事業は主力の米国で住宅ローン金利が上昇する影響で住宅販売が急減速するものの、国内での不動産仲介や物件の開発事業で補い2024年1月の純利益が前期比で4.6%増となる見通しを示したことや、自己株式を除く発行済み株式総数の2.72%にあたる1800万株、400億円を上限とした自社株買いを発表したこともあり買いが優勢となりました。焼肉店やラーメン店を展開する物語コーポレーション(3097)も一時2.5%となり上場来高値を更新しました。焼肉部門のほか、ラーメン部門やお好み焼き部門なども大きく伸びたことなどで2月の既存店売上高が前年同月比36.7%増となったことを好感した買いが入りました。北越コーポレーション(3865)も5.2%高となり昨年来高値を更新しました。投資ファンドのオアシスマネジメントが保有割合を12.89%から18.00%に引き上げたことが変更報告書で判明したことを材料視した買いが入りました。

一方で昨日の米国市場で大手金融株が大幅安となったことや、日銀が金融政策決定会合で現行の金融緩和政策の維持を決めたことでメガバンクが安く、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が6.1%安、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が5.3%安、みずほフィナンシャルグループ(8411)も4.9%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は479円安となりました。米大手金融株が大きく下げたことや、米ハイテク株にも売りが出て昨日の米国市場が大きく下落したことで大幅反落となりました。日銀が現行の金融緩和政策の維持を決めた金融政策決定会合の結果を前引け後に発表したことで後場寄り直後に260円安余りまで下げ幅を縮める場面もありましたが、上値は重くその後再び下げ幅を広げると500円以上の下落となりました。しかし、昨日までの5日間で1,100円以上上げ急ピッチでの上昇となっていたことや、東証プライム市場の騰落レシオが昨日時点で132.6%となり買われ過ぎとなっていたことからすると必要なスピード調整だったとみることもできそうです。なお、日本時間の22時30分には2月の米雇用統計が発表される予定です。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は7日の議会証言で、今後のデータ次第で利上げのペースを加速する用意があり、最終的な政策金利の水準が従来の予想よりも高くなる可能性があると述べています。そのため米雇用統計の結果にいつも以上に関心が集まりそうでマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)